高市首相 株主偏重を「行き過ぎ」と批判 従業員への利益還元強調

2025/11/15 更新: 2025/11/15

高市早苗首相は14日、参議院予算委員会で、日本企業が株主への利益配分を重視しすぎている傾向を指摘した。首相は、企業に今後、従業員への利益還元をしっかり行うよう求めた。

この発言は、国民民主党の川合孝典参院議員が企業収益の労働分配率向上に向けた追加的な政策の必要性について質問したことに対する答弁として出た。最近の日本企業が株主への配当や自社株買いを増やしている状況を背景にしている。企業は利益を株主に返すことで株価を上げようとしてきたが、首相はこれを「行き過ぎた傾向」と表現し、代わりに、従業員の給料を上げるなどの還元を増やすべきだと述べた。

2025年11月14日、参議院予算委員会で質疑を行う国民民主党の川合孝典議員(参議院・インターネット審議中継)

川合議員は参院予算委員会での質疑応答の中で企業業績のグラフを提示し、配当金、利益剰余金が右肩上がりの中、人件費が横ばいであることを示し、高市首相の見解を求めた。

高市首相は、次のように話した。「株主に目を向ける行き過ぎた傾向があったのではないかと思っている。その上で、コーポレートガバナンス・コードを改定し、企業が経営資源を株主配当だけでなく、従業員に還元するよう促す」。コーポレートガバナンス・コードとは、東京証券取引所が上場企業に守るよう求めるルールで、企業が正しく経営し、株主や社会に説明責任を果たすための指針だ。政府がこれを見直す可能性を示唆した。

この発言は、物価が上がる中で、従業員の生活を支えるための政策として注目されている。日本企業はこれまで、株主重視の経営を進めてきたが、労働者の賃金がなかなか上がらない問題が続いている。

一方で、一部の専門家は懸念を示している。外国の投資家から見て、日本の企業改革が後退するように見えると心配する声もある。株主への配分を減らすと、株価が下がる可能性があるからだ。

高市首相は政調会長だった2021年9月、自民党総裁選出馬を前に「日本経済強靭化計画」を発表した。その中で、資本金1億円以上の企業が抱える現預金に課税する案を提案した。この案は、企業が多額の現金を眠らせずに設備投資や賃金引き上げに使うことを促す内容で、税率は1%程度を想定した。企業が課税を避けるために現預金を減らし従業員の給与に回せば、経済の活性化につながるとの考えに基づく。また、賃金を上げた分を課税から免除する方法も検討されていた。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
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