社会問題 「統一」広告に滲む焦燥 

北京空港の柱にずらりと「統一」の文字広告 威勢はいいが中身は

2025/04/15 更新: 2025/04/15

北京の空港で撮影された「統一」の大きな字、ずらりと書かれた広告がネット上で波紋を広げていた。

空港の柱に掲げられた問題の広告には、赤地に白字で「統一」と書かれており、台湾の島のシルエットとともに中国共産党機関紙「人民日報」のロゴまであった。

この「統一」広告と同じ画像は、中国軍の台湾島周辺合同訓練を開始した4月1日の「人民日報」が、SNSを通じたニュースとともに掲載されたものであり、中国による台湾統一の意志を象徴するものとされた。

「海峡雷霆(かいきょうらいてい)-2025A」と名付けられた問題の軍事演習は、4月1日~2日、台湾の重要な港湾やエネルギー施設等に対する精密打撃を想定した内容とされたが、台湾国防部は「演習では実弾が確認されていない」と発表。

「中国軍の誇示する軍事力には、現実との大きな乖離がある」とかねてから専門家らが指摘してきたが、今回も短期間で終了した演習は「軍内部の混乱が影響しているのかもしれない」との見方もあると言う。

大紀元の軍事コラムニスト、沈舟(ちんしゅう)氏は、「この演習は政治的演出に過ぎず、わずか2日で呆気なく終わってしまった。これは中国の軍の内乱と直接関係があるのかもしれない」と分析する。

つまり、外に向けた威圧的な宣伝とは裏腹に、統一への具体的な戦略も実行力も欠如しているというのが実情だ。

こうした公の場における過剰な政治宣伝を含む一連の「演出」を、国民はどう思っているのか。

SNSでは「いったい、いつになったら本当に統一するんだ」といった冷ややかな声が相次いでおり、なかには「インスタントラーメンの広告かと思った(中国には『統一』という有名なインスタントラーメンメーカーがある)」といった皮肉も少なくなかった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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