3月18日午前、中国共産党政府のお膝元、北京市で社会報復事件が発生した。
この日、北京市順義区の交差点で暴走車1台が現れ、暴走車は市民で賑わう「野菜市場」へ突入して市民を手当たり次第に轢き飛ばした。
「こっちで轢いたと思ったら今度はあっちでも……」「あれは絶対社会報復だ」と現場を目撃した市民はいう。
目撃者によると、多数の死傷者が出ているようで、事件後、現場は封鎖され、事件関連情報や画像・動画は中国のネットでは封殺に遭っている。
「社会報復」予告
情報提供者によると、容疑者は犯行におよぶ20分前に「社会報復」を予告する動画をSNS(中国版TikTok「抖音」)で配信している。
容疑者は過去にもたびたび自身SNSを通じて「司法の不公」を繰り返し訴え、「社会報復をする!」と揚言してきたが、当局からの注目を得られなかった。
過去に撮影された地方政府(楊鎮政府)前の動画のなかには、 自身が受けた不公平な仕打ちを訴え、「政府や司法部門は法律を違反した、私は社会に報復するぞ!」と訴える容疑者の姿もあった。しかし、その時、政府の門番(警備員)は笑いながら容疑者を止めに入り、彼の脅しなど眼中にもない様子だった。
(かつて政府前で「社会報復するぞ!」と抗議する容疑者の姿)
容疑者は、土地徴用する政府が提示する補償金に不満で立ち退きを拒否したため、自宅を強制的に取り壊されていたが、どこに訴えても声が届かなかった。
今回の社会報復の実行に際しては、前もって離婚を済ませ、子供とも関係を絶ったという。
なぜ増える「社会報復」
近年、中国各地で頻発する社会への報復を意図とした無差別殺人。一市民をそこまで「捨て身」にさせるのは、たいていは自力では乗り越えられない(権力者に偏った)司法という名の壁に対する絶望である。
さらに中国共産党(中共)による長きにわたる「無神論」や「闘争理論」による洗脳の結果、神を信じず、因果応報を信じない人も少なくない。
その結果「死んでもただでは死んだら損したような感覚すら覚え、他人を道連れにでもしないと気が済まない」といった考えを持つに至った。これは道義上許されないことではあるが、その責任をこの容疑者一人に負わせるのは酷だろう。
容疑者は土地徴用する政府が提示する補償金に不満で立ち退きを拒否したが、これは民主主義国家であれば正当な権利で、世界的に共有できる伝統的な価値観でもあるだろう。
提示した補償金を拒否したからと言って、市民の家を強制的に取り壊す国家がどこにあるだろうか。
伝統的な価値観は古くて遅れているもので、「無神論」や「闘争理論」が新しくて正しいとうそぶいてきた結果が今の中国だ。
なぜ中国はこんな国になってしまったのか。今後も増え続けるであろう社会報復。中国の人々のみならず、中共に関わる世界中の人々はこの問題を本気で考えなければならないかもしれない。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。