中国 トランプ関税回避で輸出制限を検討 

2025/03/24 更新: 2025/03/24

トランプ大統領が再びホワイトハウスに返り咲き、対中貿易攻勢を強める中、中国共産党(中共)当局は一部製品の対アメリカ輸出を自主的に制限するという戦略的な調整を検討している。目的は、貿易摩擦の激化を回避することにある。

ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、中共政府が1980年代に日本が採用した「輸出自主規制(VER)」にならうことを検討していると報じた。日本は当時、アメリカによるより厳しい関税措置を回避するため、自主的に自動車の対米輸出量を制限し、同時に価格を引き上げ、高級車市場への転換を図った。

輸出自主規制は、輸出国が自主的に輸出枠を設定する形式の二国間貿易協定であり、より厳しい貿易制裁を避けるための緩衝策とされている。

中共当局が対象として検討している業種には、アメリカが特に警戒している分野が含まれている。たとえば、EVやバッテリーといったハイテク産業がそれにあたる。アメリカ側は、これらの分野において中国が政府補助金を活用した大規模輸出を行い、世界市場を歪めていると長年批判している。

中共政府の一部関係者は、「輸出自主規制」により、アメリカからの「経済的不均衡」への批判を和らげるとともに、関連分野に大手をかけ、アメリカ市場への投資機会の拡大につなげる可能性があると見ている。

ただし、この対応は中共が製造業中心の経済政策を転換することを意味するものではない。対米貿易圧力に備えた一時的かつ戦略的な手段として位置づけられている。加えて、これは輸出製品の付加価値向上にもつながるとの期待もある。

アメリカのスコット・ベッセント財務長官は、2月末に中共の何立峰(か・りつほう)副首相と電話会談を行い、中国の過剰生産能力、政府補助金、市場の歪みといった問題に対する懸念を伝えた。ベッセント氏は、これらが国際市場において不公正な競争をもたらしていると強調した。

現時点では米中間で正式な貿易交渉は再開されておらず、トランプ政権は第2期中に中国製品への新たな関税を導入しており、その合計は約20%に達している。貿易対立は再び激しさを増している。

輸出自主規制は短期的には外部からの圧力を緩和する可能性があるものの、専門家は、米中間の大規模な貿易不均衡を根本的に解消するのは難しいと指摘する。

特に、中国企業がメキシコやベトナムなどの第三国を経由してアメリカに輸出する動きが強まっていることから、制度の実効性や監視体制にも課題が残る。

王君宜
王君宜
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