中国の李克強首相はこのほど行われた国務院常務会議において、今後「苦しい生活を送る心構えを打ち立てよう」と述べた(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

中国李克強首相「苦しい生活に備えよう」経済失速を示唆か

中国の李克強首相はこのほど行われた国務院常務会議において、今後「苦しい生活を送る覚悟をするべきだ」と述べた。劉昆・財政部部長(財務相)に続き、李首相は中国国内景気後退について警告した。

「中国政府網」は1月12日、9日の国務院常務会議では、国内の小・零細企業を対象にした減税措置を決定したと報道した。同会議で、李首相は「経済の下振れ圧力が強まるなか、減税はおもに小・零細企業の雇用を安定させるためだ。しかし、減税すれば政府の歳入が少なくなるため、一般的な歳出を削減すべきだ」と述べ、財政が厳しい状況にあると言及した。

劉昆・財務相は昨年12月27、28日、北京で開催された全国財政工作会議で、当局が今後「大規模な減税措置を実施する」ために、「政府関係者は今後、厳しい生活に備えなければならない」と話した。

中国では、中小・零細企業はほぼ民営企業で約7000万社以上あり、全国企業数の99%を占める。中国国内総生産(GDP)への貢献度は60%以上だ。

いっぽう、大型・超大型企業の大半は国有企業だ。国有企業のうち、中央政府の直接監督管理を受ける中央企業は98社。GDPへの貢献度は約32%だ。

大紀元コメンテーターの石実氏は、中国最高指導部が相次いで「生活が厳しくなる」と発言したことが、中国経済の冷え込みの深刻さを反映したと指摘した。

また、石氏は小・零細企業への減税措置について、当局が雇用悪化による社会不安を回避するための対策であると分析した。中小・零細企業の雇用者数は中国雇用者数全体の約8割を占めるからだ。中央企業の労働者数は全体の1.6%だ。

昨年12月、中国人民大学国際通貨研究所の理事兼副所長の向松祚氏は同大学の講演で、2018年中国の中小企業は「大きな打撃を受けた」とした。米中貿易戦の影響が一因だが、民営企業の経営者らが中国当局の「国進民退」(国有経済の増強と民有経済の縮小)政策に失望し、悲観的心理が一段と拡大したことも大きく影響したという。

向氏によると、国内重要研究機関の内部調査資料では、2018年中国のGDP成長率が実際には1.67%しかないと示された。

中国ポータルサイト「網易」の昨年10月の報道によると、2018年上半期において、中国国内では約504万社の企業が倒産し、200万人以上が失業した。報道はその後、当局によって削除された。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国では資本逃避が続き、2024年には2540億ドルに達した。政府の厳しい規制や経済的問題、さらに台湾問題が資本流出を加速させている。政府の短期的な刺激策も信頼回復には不十分で、今後も資本流出と投資低迷が予想される
中国金融界で華興銀行の元書記長・張長弓が逮捕、賄賂や公金横領で告発されるなど幹部の失脚が続いている。張氏は複数の金融界の大物を告発し、関係者の多くも失脚。経済低迷と財政難が背景にあり、腐敗摘発が進む一方で、内部闘争も激化していると専門家は指摘する
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
ファーウェイが世界初の「三つ折りスマホ」 が先月下旬に発売し注目浴びるも、開始直後からトラブルが相次いでいる。サムスンのパクリ疑惑や購入後1か月で液漏れなど…
中国経済の低迷が続き、エルメスやコカ・コーラ等の大手企業が事業を縮小。政府の景気刺激策にも関わらず、経済回復の兆しは見えず。特に高級ブランド業界は影響大。米中貿易摩擦の激化も外資の戦略見直しを促している。中共には高級ブランドそのものが似合わないし、そもそも成金の悪趣味だったのかもしれない?