英から1.2兆ドル超の資産・資金移管、EU離脱で金融業界=研究機関

[ロンドン 11日 ロイター] – 英独立系シンクタンクのニューフィナンシャルが11日公表したリポートによると、275社以上の金融機関が英国の欧州連合(EU)離脱に伴い計1兆2000億ドルの資産・資金および数千人の人員を英国外に移管する計画で、最大40億ドルの費用負担が生じる見込み。

英議会では12日に修正離脱案に関する採決が予定されている。3月29日の離脱日まで3週間を切ったが、離脱案が承認されるか、否決されて離脱日延期または合意なき離脱となるのかはいまだ見通せない。

リポートによると、金融機関のうち最も多い100社がダブリンを移管先に選んだ。このほか60社はルクセンブルク、41社はパリ、40社はフランクフルト、32社はアムステルダムを移管先とした。

移転を決めた資産運用会社の半数はダブリンを移管先とし、これにルクセンブルクが次いだ。フランクフルト移転を決めた金融機関の9割近くは銀行で、アムステルダムを選んだ機関の3分の2は証券会社かトレーディングサービス提供会社。パリは銀行の市場・トレーディング業務の主要拠点となりつつあるようで、幅広い金融機関を集めた。

ニューフィナンシャルによると、ブレグジット(英EU離脱)に伴う人員の移管や現地採用の総数は5000人に上る見込み。

資産に関しては、大手銀行と投資銀行の計10行が、英銀行業界全体の資産の10%に相当する8000億ポンドの資産を英国外に移管する計画。少数の保険会社は350億ポンドの資産を既に移管し、資産運用会社の数社は650億ポンドの資金を移した。

ニューフィナンシャルの創業者ウィリアム・ライト氏は、ロンドンへの悪影響は想定を上回っており、今後さらに拡大すると指摘。「英国の欧州銀行・金融業界における影響力は低下し、同業界からの税収が減少し、EU向け金融サービス輸出も減少する」との見通しを示した。

リポートによると、銀行・金融活動の10%が移管すれば、英国の税収が約1%減ることになる。また、資産移管による企業のコスト負担は30億─40億ドルで、これが今後顧客や株主に転嫁されることになるとした。

ただ、これまでの資産移管の範囲や規模、そして英国とEUの当局間の合意は、金融業界がいかなる形のブレグジットにも用意があることを示していると指摘。また、近い将来においてロンドンは金融センターとして圧倒的な地位を維持する見通しだが、他の欧州の都市が徐々にロンドンの座に迫ることになると予想している。

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