中国の南方科技大学副教授・賀建奎氏は2018年11月、香港の学会で、遺伝子編集をした双子の女児が誕生したと発表した(ANTHONY WALLACE/AFP/Getty Images)

武器いらず、宣伝工作いらず DNAを使った「最悪の武器」とは=米専門家

人々が最も秘密裏にしておくべき個人情報は、地球上の70億人をそれぞれ識別できるDNAだ。中国の公表文書や関連報道によれば、当局は国内外でDNAを収集し、データベースを作成している。

人口研究所代表のスティーブン・モッシャー氏はこのたび、大紀元英語版に寄稿文で、中国には、臓器移植のために人から臓器を系統的に収奪したり、ゲノム操作した赤ちゃんを誕生させたりするなどの生命倫理問題があることに言及。倫理観の欠損した国は、DNAを使った兵器を開発しかねないと警鐘を鳴らす。以下はその抄訳。


バイオテクノロジーは、他の多くの先端テクノロジーと同様に、多目的技術でもある。中国企業が入手した、膨大な米国人の遺伝子および健康関連データは、民間だけでなく軍事目的にも使用される可能性がある。

国家安全保障に対するリスクは現実に存在する。少なくとも、2通りの攻撃方法が考えられる。中国ならば容易に実現できるものだ。潤沢な国家からの開発資金を受ければ、数年以内に遺伝子技術を武器化することができるだろう。

一つは、個人をターゲットにした兵器だ。2019年2月に発表した米中経済安全保障調査委員会(USCC)の中国のバイオテクノロジー開発に関する報告書によると、「中国はゲノムデータや健康記録によって明らかにされた特定の個人の脆弱性を標的にする可能性がある。(中略)標的となるのは外交官、政治家、政府高官、軍の指導者など。戦略的に特定された人物だろう」と書いている。

想像してみて欲しい。もし中国が米大統領のDNAを入手し、その人とその近親者を標的にした特定の病原体を設計したら?例えばトランプ・ファミリーの家系を標的にした攻撃ならば、中国が世界の地位を勝ち取るのに大きな障壁を取り除けると考えるだろう。

さらに、不快なシナリオも想定できる。かなり胸を悪くするような攻撃だが、対処の検討に値するものだ。

アジア人の遺伝子が、多くの点で白人や黒人と異なっていることは知られている。中国の華北平原に生まれた人は、日本人、朝鮮人、チベット人、そして他のアジア人とは遺伝的に異なる。

もし、中国人が免疫を持ち、他の人種にとって致命的となる天然痘を生物兵器として開発することが可能だったら?

遺伝子をターゲットにした生物兵器は今のところ報告されていない。しかし、中国がヒトのゲノム編集を実行するほどの能力を備え、バイオテクノロジー産業が急発展している現状を見ると、この生物兵器は実現できるものだろう。

共産党政権が、そのような生物兵器の開発と配備をすることに、道徳的な問題が阻害するだろうか。明らかに、障壁はないだろう。

無実の市民から、移植用臓器を取り出し、豊富な資金と引き換えに臓器移植ビジネスを実行する中国共産党政権は明らかに、人間の命を使い捨て商品と見なしている。

共産党指導層は、別の人種をターゲットにして、中国人を傷つけない生物兵器を持つことができたら、完全な大量破壊、生物兵器を作り出したと考えるかもしれない。

最悪のシナリオは、世界中の人々の間で聖書に描かれたような規模の疫病のパンデミック(大蔓延)を引き起こすことだ。地球を広く「洗浄」した後、共産党政権は広大な場を持つことになる。

背筋の凍る考えだ。

人口の少ない世界では、中国共産党はもはや最初の「3つの魔法の武器」を使う必要もない。人民解放軍を敗北させようとする軍隊はなく、宣伝部隊が洗脳しなければならない人もいない、統一戦線部が侵入して疑似的な「友好」関係を結び、抑制する外国組織もない。

つまり4番目の武器、DNA兵器だけですべてが事足りる。


スティーブン・モッシャー(Steven W.Mosher)

人口研究所代表。『アジアのいじめっこ:中国の夢は世界秩序への新たな脅威』(2017.11)著者。モッシャー氏は、スタンフォード大学で著名な遺伝学者ルイージ・カバリ・スフィルツァ(Luigi Cavalli-Sforza)のもとで生物学を学んだ。

(翻訳編集・佐渡道世)

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