通商協議をめぐり、米中で表現の相違「強制技術移転」避ける中国当局
米ワシントンで開かれた9回目となる米中閣僚級通商協議が5日、終了した。米中双方はそれぞれ発表した声明で、7つの協議事項に触れた。しかし、いくつかの協議事項には、米中の表現に相違があった。
米ホワイトハウスが米東部時間5日午後に公表した声明によると、両国の高官は「知的財産権、強制技術移転、非関税障壁、農業、サービス、米産品購入(拡大)と合意履行」の7つの議題について交渉した。また、今回の協議では進歩したが、「重要な作業が残っており、交渉責任者や次官ら、交渉団メンバーは引き続き、残る問題の解決に向けて協議する」とした。
中国国営新華社通信は現地時間6日、協議について、「新たな進展があり、残った問題についてさまざまな有効方法を通じて、さらに協議していく」と報道した。米中双方は「知的財産権保護、技術移転、非関税措置、農業、サービス業、貿易均衡、(合意の)実施メカニズム」について話し合ったと報じた。
中国政府系メディアは、米側が主張する中国当局による「強制技術移転」を「技術移転」に、「米産品購入」を「貿易均衡」と、それぞれ表現した。
中国当局は、鈍化する国内経済情勢を改善するために、米中貿易交渉での早期合意を目指し、米国に歩み寄る姿勢を示している。海外メディアは、トランプ米大統領が4日ホワイトハウスで、中国交渉団責任者の劉鶴副首相と会談した際、劉副首相が座る位置に注目した。
この日、劉副首相はトランプ大統領のすぐ横に座った。今まで、劉副首相はトランプ大統領の反対側に、ムニューシン米財務長官らと並んで座っていた。中国側が米国に大きく譲歩したことの表れではないか、との見方が報じられた。
「強制技術移転」や「米産品購入」をめぐる米中間の表現の違いは、中国当局が「大国として」のメンツを保ち、米政府が指摘してきた米企業への技術移転の強要という事実を隠す思惑があるとみられる。
米メディアによると、トランプ米大統領の経済顧問であるクドロー国家経済会議(NEC)委員長は3日、中国当局は知的財産権侵害や強制技術移転、サイバー攻撃などの問題について「初めて認めた」と述べた。
トランプ米大統領は4日、劉鶴副首相と会談した際、記者団に対して米中が合意に至れば、中国の習近平国家主席と首脳会談を行うとあらためて表明した。大統領は、米中通商協議は今後4週間以内に合意発表に至る可能性を示した。
大統領は5日、ホワイトハウスで記者団に対して、ワシントンでの米中交渉は「大成功」としつつも、「合意に至るかどうか見通しは示したくない」と述べ、交渉が長引く可能性も示唆した。
いっぽう、米中双方は10回目の米中閣僚級通商協議の日程について言及しなかった。
ブルームバーグによると、クドローNEC委員長は7日、米中高官による交渉を、今週も「多くの電話会議」を通じて行うと述べた。
(翻訳編集・張哲)