国際共同研究グループが10日発表したブラックホールの写真の版権をめぐって、中国の画像などを提供するインターネット会社、視覚中国は批判された(Credit: Event Horizon Telescope Collaboration)

ブラックホール写真を勝手に販売か 中国画像提供サイトが一時閉鎖

中国の画像提供ネットサービス「視覚中国(Visual China Group)」は、国際研究グループが発表した初のブラックホール写真を有料で販売していたことが分かった。

ネットユーザーの指摘を受け、中国当局は現在、同社のウェブサイトを一時閉鎖した。

日米欧など約200人の天文科学者から構成する研究チームは10日、世界の8つの望遠鏡を連動させ、おとめ座銀河団の「M87」銀河の中心に位置する巨大なブラックホールの姿を捉えることに成功し、写真を公開した。史上初として、世界各国のメディアが大きく取り上げた。

11日午前、「視覚中国」はウェブサイト上でブラックホールの写真を自社マーク入りで掲載し、同写真を商業目的で利用する場合、「同社の顧客部門責任者に連絡してください」という注意書きがあった。ネットユーザーは、同写真を利用する場合、使用料が発生すると認識した。同社サイト内にある中国国旗や国章の写真や関連素材には使用価格が表示されているという。

中国メディアの毎日経済新聞は12日、ブラックホールの写真の版権をめぐって、同写真を公開した欧州南天天文台(European Southern Observatory、ESO)に問い合わせをした。ESOは、ブラックホールの写真の版権は、国際プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ・コラボレーション(Event Horizon Telescope Collaboration、EHT)」に属すると明らかにした。また、ESOがEHTに参加しているため、利用者は同写真の出典を明示すれば、無料で利用できるとの認識を示した。

ESOは、視覚中国が同写真の利用料金を徴収することは「違法である」との見方を示した。

視覚中国は11日午後、中国版ツイッター「微博」で「視覚中国は同写真の商用利用の権利を取得していない」という声明を発表した。

また、声明では中国国旗や国章の写真、関連素材についても謝罪した。

中国世論のバッシングが集中したことで、中国当局も視覚中国に対して厳しい姿勢を示した。中国共産主義青年団(共青団)中央、中国共産党機関紙・人民日報と国営新華社通信が相次いで、「微博」に投稿し、視覚中国を批判した。共青団中央は微博の書き込みで、「国旗、国章の版権も貴社のものか」と質問した。

これに続き、中国天津市ネット規制当局、天津インターネット情報弁公室は12日早朝、「11日夜に、視覚中国のサイト運営責任者から事情聴取をして、サイト内での違法行為を即時に停止させ、業務改善するよう命じた」との声明を発表した。

視覚中国はウェブサイトで「サイトを一時閉鎖した。業務改善後にサイトを再開する」と発表した。

(翻訳編集・張哲)

 

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。