中国湖北省宜昌市三斗坪に位置する三峡ダム(Getty Images)

 三峡ダム「変形している」 周辺観光地、一時営業停止

世界最大級とされる中国の三峡ダムに関して、中国国内インターネット上ではこのほど「ダムが変形している」と指摘され、ダム決壊への不安が広がっている。中国当局は否定した。一方で、湖北省宜昌市の観光会社は、ダム周辺の観光地の営業を一時停止すると発表した。

独立系経済学者の冷山氏が6月30日ツイッターで、グーグルマップの衛星写真2枚とともに、三峡ダムが変形し決壊の可能性があると投稿した。2009年に撮影した1枚目の写真では、ダムが直線状で異常がないように見える。しかし、2018年に撮った2枚目の写真はダムが歪んでいる様子を捉えた。

冷山氏は7日、YouTubeに投稿された日本人ユーザーの分析動画を引用し、ダムの崩壊を再び警告した。

 

中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は5日、匿名希望の専門家の話として、グーグルマップの衛星写真に「技術的な問題」が存在すると主張した。同紙は、中国航天科技集団が公表した衛星写真を根拠に、ダムに「問題はない」とした。

一方、三峡ダムの運営企業、中国国務院の管轄を受ける長江三峡集団公司が6日発表した声明で、ダムの基礎部分は「移動することがある」と示した。「垂直と水平の移動は、重力ダム(重力式コンクリートダム)の変形の法則に合致している」という。

ドイツ在住の中国人水利専門家、王維洛氏は大紀元の取材に対して、三峡ダムは建設施工当時、すでに問題があったと述べた。長年三峡ダム問題を研究している王氏によると、ダムの右側部門を含めて、ダム基礎の下部に多くの空洞がある。

「当時、施工企業がコンクリートを注ぎ入れる際、コンクリートをよく混ぜ合わせず、温度管理もしなかったため、熱膨脹と冷収縮によって空洞が生じた。空洞の影響でひび割れが起き、水漏れが発生しているはずだ。最悪の場合はダムの崩壊を引き起こす」

 

観光会社、宜昌三峡大瀑布景区有限公司は5日に公表した通知で、6~13日まで営業を一時停止するとした。

中国メディアによると、休業の理由は「上流の建設プロジェクトが堰き止め工事に入ったため、三峡大瀑布(別名、白果樹瀑布)が流れなくなった」という。

三峡ダムは1993年に着工され、2009年完成した。2003年に湛水開始前に中国国務院の技術者らがダムを検収調査した際、ダムの表面に80カ所以上のひび割れを見つけた。中国国内では、ダムの強度について疑問が広がった。

江沢民・元国家主席と李鵬・元首相が、三峡ダム建設の主要決定者だとみられる。2003年に出版された李鵬氏の著書、『三峡日記』によると、1989年以降、江沢民氏が三峡ダムのすべての政策を決定したと表記されている。

2001年に他界した中国著名河川工学者、黄万里氏は生前、三峡ダム建設に強く反対した。黄氏はダムによって、三峡の上流に位置する山や長江の沿岸部の崩壊、長江につながる洞庭湖と鄱陽湖の干乾び、生態系の壊滅などを警告した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。