広東省の警察、バス停で乗客の唾液サンプルを採集 DNAデータベース構築か
中国南部の広東省当局は、佛山市に到着したバスの乗客から唾液サンプルの採取を開始している。インターネットでは、中国政府が全土でDNAデータベースを構築しているのではないかとの懸念を引き起こしている。
ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、佛山地方の警察官はバスターミナルで、バスから降りてくる人々の唾液サンプルを収集し、身分証明書を確認していた。
RFAが伝えた情報筋の話によると、セキュリティ・チェックは非常に厳しくて、誰も避けられないという。「警察は、麻薬の検査だと説明している」と同筋は述べた。
確認によると、検査は丹灶警察署が行っていることを認めた。「不測の事態を防ぐ方法として、バス停で乗降客の全員から唾液のサンプルを採取している」と述べた。
RFAによると、警察は収集した唾液サンプルを、DNA情報保管を専門とする会社に送っている。バイオテクノロジー企業の山東●(草かんむりに河)沢の広報担当は、全国の公安局が最大の顧客であるという。
「警察が収集した唾液サンプルは、データベースに加えている」と広報担当は述べた。
ハイテク全体主義
DNAは、76億もの地球上の全人口を識別できる最重要プライバシーだ。2016年に陳全国代表が就任して以降、集中管理キャンプと大規模な生体情報収集プログラムを実行する新疆ウイグル自治区当局では、DNA収集が行われている。
人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は2018年12月、新疆ウイグル自治区当局が、12~65歳までの地域居住者すべてのDNAサンプル、指紋、網膜の虹彩、および血液型を収集していると報告した。
米国の法学者・滕彪(タンビャオ)氏は、このプログラムを「ハイテク全体主義」と表現して、新疆モデルを全土に広げる可能性があると述べた。
中国共産党政権は「包括的なデジタルユビキタス社会制御を実装するために、顔認識システムやさまざまなデジタル技術を駆使している。『1984年』の拡張版だ」「社会的統制を強化することを目的としている」と、有名なディストピア小説が具現化していると述べた。
実際、生体認証の収集プログラムは、中国共産党による2017年7月2日付の公式文書「人口の正確な登録と検証に関する地域作業ガイドライン」に詳述されている
滕氏は国際社会に対して、中国政府にデジタル監視技術を提供する国際企業および中国現地企業を非難し、制裁を科すよう求めている。
ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国部長ソフィー・リチャードソン氏は「中国当局は、生態収集により『社会的安定』を達成できると考えているようだ。人々を顕微鏡の下に置くことで、これらの虐待的なプログラムは政府に対する敵意を深める可能性が高い」と語った。「北京はこれらのプログラムを直ちに停止し、完全なインフォームド・コンセント(事前承諾)なしで収集されたすべてのデータを破棄する必要がある」と付け加えた。
(翻訳編集・佐渡道世)