世の中の出会いは お別れ後の再会 〜 召使の三世 〜
世の中の出会いはお別れ後の再会です。中国の民間伝説では、恩に報いるため、または借金を取り立てるために生まれ変わる物語が多くあり、世の中の出会いは偶然ではなく、前世の因果関係によるものであることを教えてくれます。
曲沃(きょくよく)県尉、孫緬の家には一回も言葉をしゃべったことのない6歳の召使がいました。ある日、孫緬の母親が階段に座っている時、召使が自分をじっと見つめているのをみて「どうしたの?」と聞きました。召使は微笑みながら初めて口を開いて話しました。
「奥様は小さい頃黄色いスカートと白くて短い襖子 (あおし)を着て、一匹の野生のタヌキを飼っていたでしょう。覚えていますか?」
「もちろん覚えているよ」
続いて召使は驚くことを話し始めました。
「そのタヌキは私です。私の前世はタヌキで、ある日奥様のもとから逃げ出して屋根の瓦の間に身を隠しました。そこで奥様が泣いているのが聞こえました。日が暮れると私は屋根から下りて東園に逃げました。東園には古墳があり、私はそこで2年間暮らしましたが、ある日ハンターに撃たれ死にました。死んだ後、閻魔(えんま)王は私が罪があまりないということで、人に生まれることを許してくれました」
召使は閻魔王の判決のもとで海州のある物乞いの息子として生まれ変わりました。その一世はとても貧しくて、飢えと寒さに耐え続ける一世でした。そして20才の頃死んでしまいました。
閻魔王は彼の福徳の大きさを見て、また人間として生まれることを許しました。「今度は金持ちの家の召使で生まれなさい。身分はなくとも、一生生きるのに心配はないだろう」
6歳の召使は一気に自分の三世を述べ終わりました。見た目は子供ですが、落ち着いた口調で話す様子はまるで人生の苦痛を舐めつくした老者のようでした。彼は感嘆しました。「私はもう三世も生まれ変わりましたが、奥様はいまだに健康で、幸福です。これはとても奇妙なことではないでしょうか」
召使は三世を経て、再び老婦人と会いました。まさに別れて久しい再会ですね。
(翻訳編集・唐玉)