熊本地震から3年 復旧の進む熊本城天守閣
2016年4月14日、21時26分。今まで経験したことのない大きな揺れを感じた。すぐにテレビで地震速報があった。テレビ報道のなかで熊本城の姿が映し出されたが、お城から白煙があがっている。火事かと思ったが炎が見えない。後になって、城の瓦が崩落した時の土埃と分かった。翌日、明るくなってから見た熊本城は痛々しかった。しかしその時、16日未明に本震が来るとは思いもよらなかった。16日の揺れはさらに激しく、熊本城も大きな被害をこうむる。瓦はもちろん、石垣まで崩れ落ちたお城を見ると心が痛んだ。
情報が入るにしたがって熊本地震による甚大な被害が判明してくる。家屋の倒壊などで避難所生活など仮住まいを強いられた人はピーク時には4万7800人、2225世帯もあった。地震から3年たった今でも1万6519人、7304世帯(2019年3月末現在)。また関連死を含め270名の方が亡くなったという痛ましい事実もある。
避難所生活だけでなく、多くの人が車中泊を経験した。水や食料の配給のための行列ができる。被害の少ない地域へ車で買物に行くため渋滞が常態化するなど不便な生活が続く。そんな時、友人・知人と話をしていると自然に熊本城の話になる。お城が県民の心のよりどころになっていると再確認した。
本震から3年たった今、熊本城も震災直後の無残な姿から少しずつ復旧してきている。城のシンボルである大天守では790個の石垣を積み直し、崩落した瓦も真新しくなった。黒白の壁もかっての雄姿を取り戻しつつあり、秋には天守閣の外観が元通りになる予定。本年10月の特別一般公開が予定されている。また、天守閣の内部はエレベーターが新設される予定で全ての工事が完了するのは3年後、2021年の春から一般公開が予定されている。小天守も石垣2400個を積み直し4月15日には最上階(4階)を再び設置する作業を始めた。4階部分は年内に完成予定。石垣を含めた外観は、こちらも2021年ごろに復旧する。
しかし城全体の復旧となると、まだまだ道のりは遠い。城全体では7万個~10万個の石垣を積み直す作業が残っている。震災前の石垣に番号を振り、崩落した石垣を並べ照合するという気の遠くなる作業が待っている。工法の研究や建物の復旧も含め工事完了は20年後の2039年を目指すという。
ところで、今年に入り「復興城主」制度による寄付金額が20億円を超えたというニュースがあった。この制度は、熊本城復旧のために1万円以上を寄付すると「城主手形」や「城主証」などが発行されるもので、国内だけでなく海外からも多くの寄付があったそうだ。復旧への道のりは長く険しくても、明るい話題に希望が見える。
※エポック・メディア・グループ 新唐人テレビより転載)