Little MiMi / Pixabay

神仙の物語 仙人に出会い、そこで得た教訓

中国北宋時代、四川の成都府に許という画伯がおり、彼の描く絵は生き生きとして真に迫っていた。許の本名はわからないが、あだ名は「許偏頭(変形頭の許)」ということだけが伝わっている。このあだ名の由来となったこんな話がある。

許は絵画店を開き、絵を売ることを生業としていた。ある日、年頃は40過ぎぐらい、ぼろぼろの服を着て布袋を背負った、見るからに貧しそうな人が絵を描いてもらいに来た。許は彼の風体を一目見るなり「そんなさまを絵にできる訳がないだろう」と笑った。

だがその男は言った。「笑わないで下さい。あなたの画力は相当なものだと聞きましたので、私のことを描いて頂きたいと思い訪ねて来たのです」

そう言いながら布の袋を下ろすと、中から黄道服、鹿の皮のかぶり物、白玉のかんざしなど道士が身につける衣服を取り出した。それらを身につけた後、手で下あごを軽く撫でると、たちまち黒々とした立派なあごひげが現れた。その姿は瞬く間に、並々ならぬ風格を備えた仙人に変わった。

許はその様子を見て大変驚き、自分の目の前にいるのが神仙であることを悟ると、恭しく拝礼をして心から詫びた。「私は俗人ですので、神仙がいらした事に気づきませんでした。誠に申し訳ございません。どうぞ先ほどの無礼をお許し下さい」

仙人は笑って「私の絵を描いたら、その肖像画を店の中に掛けておきなさい。今後、その価値を知る者、買いたいという者が来たら、一幅一千文で売るが良い。代金はこれより高くしてはならぬぞ」と言った。

許が肖像画を描き終えると、感謝を述べないうちに仙人は姿を消した。

許は道士の言いつけ通り、肖像画を店の中に掛けておいた。間もなくある学識のある者がこの絵を見いだし、「これは霊泉県の朱仙人のお姿である」と言った。これを聞くと人々が次から次へとこの絵を買いに訪れ、その数は毎日十数人にも上った。許はこの絵を一枚、また一枚と複製して売り、商売が繁盛して暮らしも豊かになった。

しかし時が経つと許の胸に欲深さが芽生え、仙人の言いつけに背いて、値段を倍の一幅二千文に上げた。

その日の夜、許の夢にあの仙人が現れた。仙人は彼に「代金を高くしてはならぬと言ったであろう。私の言いつけに背くとはなんということだ。お前は運命の中の福には限りがあるということを知らぬのか。このような事をすると罰が当たるぞ!」と言いながら、手で許の左の頬を打った。

次の日の朝、目覚めた許は頭がゆがんでいることに気づいた。こうして彼は「許偏頭(変形頭の許)」と呼ばれるようになった。

許はこの教訓を経て、その後は道士の言葉に背かず、諸事慎み深く過ごした。宋の仁宗の慶歴年間まで生き、八十余りの高齢で世を去った。

(出典『括異志・巻六・許偏頭』)

-正見ネットより転載

(大紀元日本ウェブ編集部)

関連記事
突然、アレルギー症状が現れたり、アレルギー症状が不可解に悪化した場合、その原因は何でしょうか?気をつけてください。アレルギーの原因は身の回りに隠れている可能性があります。
昨年、バスリエでは入浴剤に関するアンケートを1000人規模で実施。その結果では入浴剤を使わない理由や、それとは反対の使用する理由、普段使いの価格帯などさまざまなことが判明しました。今回はその規模をはるかに超える、19000人規模の大調査を実施!入浴剤使用頻度や使用する理由・しない理由などより精度の高い調査となりました。
2024年3月度のインターネット詐欺リポートでは、三菱UFJ銀行とメルカリのフィッシング詐欺が増加している点を取り上げます。
農業総合研究所が全国のスーパーマーケットで展開している2,000店以上の「農家の直売所」の出荷データによりますと、春の葉物野菜全般が価格高騰しています。特に高騰が著しいのが、ブロッコリーです。
〜今人気のペットが明らかに!〜