米政権、移民対応に災害復興支援・サイバー対策費を転用

[ワシントン 27日 ロイター] – トランプ米政権が、ハリケーンなど災害復興支援とサイバーセキュリティーに割り当てられた予算のうち2億7100万ドルを移民の収容施設や難民認定審査を行う裁判所の経費に充てる方針であることが明らかになった。

国土安全保障省の高官らはこの方針について、中米諸国の治安悪化や貧困から逃れて米国に流入する難民申請者の急増は米政府の対応能力を超えていると説明。一方、同省の予算執行を監視する下院委員会の委員長を務める民主党有力議員、ルシール・ロイバル・アラード氏はこの方針は同省による越権行為だと批判した。

トランプ政権は、議会が承認した予算を本来の使途以外に転用することで、移民を長期間拘束できる体制を整えたい考え。トランプ大統領は難民申請の審査を受けている不法移民の家族が収容施設から釈放された状態で待機することができなくなるよう規則を変更する方針を示している。

ロイバル・アラード氏の書簡によると、国土安全保障省傘下の連邦緊急事態管理庁に割り当てられた予算のうち、1億1500万ドルを移民対策に転用することを政権側は計画している。

これに加え、サイバーセキュリティーと米沿岸警備隊の新たな機器に関連した予算も転用の対象となるという。

同省は、難民申請の審査を受けている単身の成人を収容するために十分な予算割り当てがなかったと指摘。議会は今年、収容施設のベッド数5万2000床を維持するために28億ドルの予算を承認しているが、移民・関税執行局によると、現在収容している移民の数は5万5000人以上いる。

ロイバル・アラード氏は声明で、同省は規定の移民関連予算を大幅に超過することで議会との合意を無視したと批判した。

民主党のペロシ下院議長は政権側に予算の転用を考え直すよう求めた。災害復興支援予算を移民家族を拘束する「非人道的」な計画に転用するのは驚くべきで、ハリケーンシーズン目前にそうすることは「向こう見ず」な行為だと批判した。

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