ドイツ銀行、中国政府高官に高級プレゼントと子弟の縁故採用=報道
ドイツ銀行は20年前、中国に進出した際、金融業界での熾烈な競争に打ち勝つため、中国共産党のトップや親せきとの人脈形成のため、党幹部に高額金品などの賄賂を送っていた。さらに、中国高官の子息のための「縁故」採用枠があるという。米ニューヨーク・タイムズと南ドイツ新聞が共同調査の結果を報じた。
調査によると、ドイツ銀行はかつて中国共産党の上層部やその家族、石油などの大型国有企業の上層幹部に20万米ドルを超えるプレゼントを贈っていた。江沢民も含まれている。プレゼントの内容は、水晶の彫刻や虎の置物、ドイツの高級音響製品、1945年製造のワイン、カシミアのコート、ホテル宿泊代など。
両紙は、内部資料や電子メールなどドイツ銀行の機密文書を調査した。その結果、当時の銀行上層部は、中国で業務を円滑に行うためには人脈が最も重要で、特に中国の資産の大部分を管理している中国共産党のエリートたちとの関係を重視していたという。
この報道を受けて、2002~12年にドイツ銀行総裁を務めたジョセフ・アッカーマン(Joseph Ackermann)氏は「ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースも同じようなことをしていた。だからわれわれもそれをしなければならないと考えた」と述べた。しかし、共産党高官が「たかだか数千元のプレゼント程度で心を動かすとは思えない」とも付け加えた。
両紙調査の中で、アッカーマン氏は、ゴールドマン・サックスの前北京事務所代表・張紅力(Lee Zhang)氏を雇用し、中国事業への進出を助けていた。張氏がドイツ銀行にもたらした変化は非常に大きく、中国進出からわずか2年で、アッカーマン氏は当時の江沢民国家主席と面会した。
さらにドイツ銀行は、中国での人脈形成を強化するために、共産党高官の子女や親せきである、非常に若い未経験者を数十人採用していた。内部文書によると、ある「就職希望者」の両親は中国大手国営企業の役員で、「最悪」の評価を受けていた。
また別の「就職希望者」について、行員は同僚に向けて「私たちの基準に合わない」と電子メールで知らせたが、相手が劉雲山・中国宣伝部の息子だということがわかり、採用された。
報道によると、ドイツ銀行は「縁故採用」19人を対象に内部調査を行った結果、銀行の収益1億8900万ドルにつながったとした。
ドイツ銀行は2019年7月、大規模な経営再建計画を発表した。2022年までに1.8万人を削減するほか、投資銀行部門の資産740億ユーロ(約9兆円)を切り離し、株式売買の業務から撤退する。
(翻訳編集・佐渡道世)