7月、米大統領選の民主党候補争いの討論番組を視聴する、CNN社長ジェフ・ザッカー氏(Getty Images)

米大手CNN幹部「一日中トランプばかり」偏向性に落胆 機密映像が公開

米調査ジャーナリスム団体はこのほど、米メディアCNN社員に対して秘密裏に行った会話の録音や映像を公開した。社員は記録のなかで、左寄りの偏向、センセーションを引き起こすこと、「トランプ大統領は悪い人」であると印象付ける番組制作に落胆していることがわかった。

調査ジャーナリスト組織・プロジェクト・ベリタスProject Veritas)の録音は10月に公開され、一週間にわたり連続して新たな記録が公開されている。初回の14日公開映像は110万回以上再生された。

社員たちは特に、CNNマーク・ザッカ―社長の個人的な好き嫌いが報道に反映されていることを気にしている。ザッカ―氏は20年あまりNBCに務め、2007年に社長兼最高経営責任者に就任。2013年にCNNに移り、社長に就任した。

記録によると、CNNの現場監督で25年報道業界に勤務するベテラン、パトリック・デイビス(Patrick Davis)氏は「私達(CNN)が何になろうとしているのか、見るのが嫌になっている」と会社の行方を案じている。

デイビス氏は、みなジャーナリストの学問では「中立」が仕事であることを学ぶが、CNNはこれに従っていないとした。

CNNニュースアシスタントのニック・ナビル(Nick Neville)氏は「基本的にはザッカー(社長)による」「おそらくザッカーのせいで左に傾いている」と述べた。

ザッカ―社長とも仕事をした経験があるというデイビス氏は社長について「毎日(仕事に)関わり、計画を立てているが、私はそれに同意していない」「全くどうかしている」と嘆いた。

CNNの冠番組の編集者は、最近、ニューヨークタイムズの報道を引用して伝えた。それによると、トランプ大統領は国境警備強化のために、壁沿いに堀を造り、水を張ってワニやヘビを放つ、あるいは壁にトゲを付けて電流を流す仕組みにする、という案を検討していたという。

トランプ大統領はフェイクニュースだとして報道内容を否定した。「私は国境警備に厳しいが、そんな過激なことは言っていない」とツイッターに書いた。

編集者は「ヘビとワニの壁」の話題から別の話題に移ろうとしたが、ザッカー氏が編集者を止めた。支持者の心がトランプ氏から離れるように仕向けるべきだと指示し、関連報道を続けた。「弾劾関連の報道は7000件もあることを知っている。弾劾(を後押しする)の話を続けるべきだ」とザッカ―氏は述べたという。

CNNの現場制作担当ジェラルド・シスネット(Gerald Sisnette)氏は、機密映像の中で、CNNのトランプ大統領に対する批判は終わりが見えない、とうんざりしているといった表情で語っている。「これが消える唯一の方法は、彼が退任することだろう。すぐであることを願っている」と述べた。

「昔は違った」

「CNNは以前はこうじゃなかった」13年前、CNNのフロアマネージャーを務めたマイク・ブレベナ(Mike Brevna)氏が映像の中で語る。

CNNの「The Axe Files」のテクニカルオペレーションスーパーバイザー、アジア・ジェイコブス(Asia Jacobs)氏は、CNNはかつて「本当に率直なニュース番組」を作っていたと述べた。「オピニオンや議論の時間はそれほど多くなかった」「今は最初から終わりまでトランプ」。

CNNの上級現場技術担当スコット・ガーバー(Scott Garber)氏もまた、「以前は普通のニュースも取り扱っていた」と現在の偏向姿勢を嘆いた。

デイビス氏は、ホンジュラスで5月18日に起きた、小型飛行機の墜落事故について述べた。事故で4人の米国人が死亡した。以前なら特派員を派遣したが、いまは「トランプの話が重要」で、派遣したとしても事故報道が重要視されないと考えたという。

デイビス氏は数週間前、ハリケーン「ドリアン」の影響について報じるために、米南西部フロリダに赴いた。進路は北寄りになり、フロリダでの被害は少なかった。「地元の人々は、深呼吸して、安堵しているようだった」。しかし、CNNの放送を見ると、まるで大災害が発生してこの世が終わるかのような誇張ぶりだったという。

プロジェクト・ベリタスの代表ジェームス・オキーフ氏は9月、匿名のジャーナリストおよびCNN内部の協力を得て、CNN幹部たちの機密映像を撮った。10月14日から22日にかけて7本の動画が公開され、再生回数は総合計200万回を超える。さらなる動画公開も予定しているという。オキーフ氏は22日にツイッターで、動画の反響の大きさから、関係した多くのCNN幹部たちに改めてコメントを求めているが、拒まれている。

(文・Pater Svab/翻訳編集・佐渡道世)

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