NBAのスター選手であるレブロン・ジェームズ。(Lintao Zhang/Getty Images)
香港デモ絡みに発言、反発招くNBAジェームズ選手

レブロンと有名人の意見の転換点

今、ロサンゼルスの評判を傷つけていることが二つある。市の無謀なリベラルリーダーシップが主な要因となったホームレスの危機、そして米国バスケットボール協会(NBA)のLAレイカーズのリーディングプレーヤーであるレブロン・ジェームズ氏の発言である。

私たちはセレブ文化の中に生きているため、最近ニュースでよく見るのは後者の方だが、それも問題の一部である。

バスケ界のメガスターのジェームズ氏は、世界で最も有名な現役アスリートの一人。しかし、ヒューストンロケッツのゼネラルマネージャーであるダリル・モリー(Daryl Morey)氏が香港の民主化のためのデモを支持するツイートを発表した時、ジェームズ氏はそれが「誤った情報を与えられた」からだと発言し、私たち無知な人々にそう伝えるのが正しいことだと思ったようだ。さらにESPNの報道によると、ジェームズ氏はNBAコミッショナーのアダム・シルバー(Adam Silver)氏と上海のホテルで行われた会議で、ヒューストンロケッツの幹部の処罰を求めたという。

みんな彼をキングジェームズと呼んでいるのには訳がある。

ここで「誤った情報を与えられた」という主張に戻ろう。これはジークムント・フロイト(Sigmund Freud)が20世紀の始めに投影(projection)という現象を説明して以来、最も純粋な投影の例の一つだ。ジェームズ氏はモリー氏が自分(ジェームズ氏)と同じであると非難したのだ。誤った情報を与えられたのはジェームズ氏の方であり、その度合いはかなり高い。しかもそれは、最近のアスリートに多く見られるように、大学に行かずに高い報酬が得られるプロとしてのキャリアを伸ばしたことだけが要因ではない。大学に行かなかったことによって少なくとも謙虚になるはずだ。

しかし、そうはならなかった。ジェームズ氏は中国のことに対して特に無関心で、他のことに対してもおそらくそうだ。何かがお金の流れを遮る時、それについて知ろうとしないことが最善だ。しかし、声をあげる勇気がある人に対しては、発言をしていじめても構わない。毛沢東がスターリンとヒトラーよりも大量殺人をしていることなんて気にしないでいい。彼は今なお誰よりも多くのTシャツを売っている。中国共産党が今なお何百万もの人々を強制収容所に閉じ込めていることなんて気にしなくていい。かわいそうな人々が強制労働と政治的強化の1日を終えたあと、衛星テレビでNBAの試合が見れるようになるかもしれない。

これで安心だ!

ジェームズ氏をからかうのはツイッターでもトレンドになっていて、簡単だ。しかし彼はとても大きな氷山のとても大きな一角に過ぎない。無知なセレブが政治に関する発言をするという氷山だ。彼らは軍団を成していて、スポーツ界だけに止まらない。しかし、NBAのゴールデンステートウォリアーズのヘッドコーチであるスティーブ・カー(Steve Kerr)氏は、父親がシーア派のテロリストに銃で頭を撃たれており、見識があるはずであり、公で発言する前にもっと明確に考えた方がいい。

しかし最近、エンターテイナーたちはこれまでにないくらい多くの意見を発し始めている。そしてその意見は一般の人々よりも優れているわけではなく、多くの場合劣っている。

特権の罪

ジェームズ氏は自分の明らかな欲望を世に知らしめてしまった。セレブの行動の多くは、注目を集めることへの絶え間ない渇望よりも、特権を与えられた人生に対する罪悪感に動機づけられている。彼らは尊敬され、エンターテイナーやアスリートとして、多くの人々にとってただ楽しんでいるように見えることをすることによって何百万ドルもの報酬を受けている。

したがって、この罪悪感を和らげるために、意識的または無意識的に、極左の公の顔が発明され、「人民の保護者」であると装っている。しかし実際は人民から想像出来ないくらい離れている。

時々これを見ていると面白い。ロバート・デ・ニーロ(Robert De Niro)氏はトランプ氏に対して制御不能な攻撃をして、アクション映画のマシンガンみたいに汚い言葉を浴びせることで、あなたを笑わせるかもしれない。しかし、あなたは彼のジョークで笑っているのか、それとも彼自身を笑っているのか分からなくなる。

セレブが政治や社会問題に対して意見を言うことを人々が嫌うようになる転機点をようやく迎えているようだ。彼らの意見は一般の人たちにますます反発され、そしてからかわれるようになっている。

ジェームズ氏の発言がそうだった。もし中国の共産政権下の10億人を超える人々の苦しみよりも自分の利益を優先することで、多くの米国人が彼から離れてしまったのなら、彼は意図せずに私たちみんなに恩恵をもたらしたのかもしれない。

彼のおかげで私たちは、フォックスニュースの司会のローラ・イングラム(Laura Ingraham)氏が言ったように、エンターテイナーは「黙って歌い」、アスリートは黙って試合をする栄光の日に近づいたのかもしれない。


執筆者:ロジャー・L・サイモン(Roger L. Simon)

PJ Mediaの共同創立者で、アカデミー賞にノミネートされた脚本家。

(大紀元日本ウェブ編集部)

 

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