中国北京市、またも強制立ち退き 郊外戸建に住む中所得者が対象
中国北京市はこのほど、違法建築物として郊外の住宅を取り壊すことを決定し、住民に立ち退くよう命じた。住宅の所有者らは18日、合法的に物件を購入したとして鎮政府の前で抗議デモを行った。市政府は来年1月までに、昌平区内で約105件の分譲地が立ち退きの対象となっているとした。北京市当局は、2017年に出稼ぎ労働者を強制退去させたことで批判を受けていた。
北京市昌平区崔村鎮政府17日の通知書によると、香堂村の工業園小区にある40棟の住宅が違法建築物であるとし、住民に対して18日内に撤去するよう指示した。「撤去しなければ、鎮政府が強制的に取り壊す」という。立ち退きの補償金も支給しないとした。
18日、千人以上の住民が崔村鎮政府の前に集まり、「立ち退きに反対」などのスローガンを叫び、抗議活動を行った。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)22日付によれば、ある男性の住民は、抗議者の前に現れた韓軍・鎮党委員会書記に対して、「20年前の物件購入契約書に村、鎮、区の3つの役所の認印が押されているし、国土局のハンコもあるのに、なぜ数日内に立ち退きしなければならないのか?契約書がここにあるのに、路上生活しろとはあまりにも理不尽だ」と怒鳴り付けた。
しかし、崔村鎮政府は19日に新たな公告を出し、10の地区、総面積約3万平方メートルの物件が、許可のないまま建設されたため、条例に違反したと述べた。
該当する10の地区には、3階建ての戸建てを含む約3800棟の住宅があり、1万人以上が住んでいる。
RFAによると、立ち退きによって、1人の住宅所有者は約500万元(約7721万円)の損失を被る。村民はRFAの取材に対して、周辺の他の鎮でも同様の立ち退きが行われていると話した。北京市当局は、この方法で土地を再収用してから、不動産開発企業に譲渡し、新たな分譲物件を建設する計画をしているという。
北京市トップの蔡奇氏は2017年11月にも、違法建築物の取り締まりと称し、厳しい冬の中で多くの出稼ぎ労働者に立ち退きを命じた。市民や知識人から批判が噴出した。
今回立ち退きの対象になった住民が大紀元に提供した情報では、北京市昌平区政府が来年1月4日までに実施する立ち退き計画によって、数十万人の住民が影響を受けるという。
同住民は「2年前に北京市政府は、家屋や工場などを取り壊し、300万人の『低端人口(低所得者)』を追い払った。冬を迎える今、当局は今度はわれわれ『中端人口(中所得者)』を追い払おうとしている」「大規模な取り壊しで、郊外に住む公務員や中間層、海外帰国者、元党幹部らはみんなホームレースになる」と嘆いた。
(翻訳編集・張哲)