11月11日、香港警察が香港中文大学の構内で、学生らから構成されたデモ隊に催涙弾などを発射し強制排除した(余鋼/大紀元)

中国当局、本土出身の大学生を香港から退避 台湾も

中国政府の出先機関「中央政府駐香港連絡弁公室」(中連弁)は11月13日、香港中文大学に在籍する本土出身の大学生に香港から離れるよう指示した。同大では12日夜、警察と学生の激しい攻防戦が繰り広げられ、警察は2356発の催涙弾やゴム弾を発射した。同大の学生ら約60人が負傷したという。中国当局は今後、軍介入も含めて、より強硬な手段で香港の抗議者を鎮圧していくとの見方が出ている。

香港メディアは13日、中国の習近平国家主席がこのほど、香港問題を「思い切って解決するように」「絶対に譲歩してはいけない」と指示したと報じた。

中連弁は声明で、香港は「テロリズムの地獄に滑り落ちつつある」と述べ、香港政府にデモを厳しく制圧するよう求めた。

13日正午ごろ、中国軍駐香港部隊のヘリコプターが中文大学や大埔地区の上空を飛行した。地元メディアによると、駐香港部隊の駐屯地である「石崗軍営」では、軍人らは暴動鎮圧用の器具を装備したという。香港水上警察は、中文大学に通う中国本土出身の学生のために船舶を用意し退避させた。警察側は、安全のためだと説明している。

香港メディア・立場新聞14日付では、本土出身の大学生1人が「13日に突然、関連機関から大陸に戻るようにとの知らせを受けた」と明かした。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、他の学生には12日の夜に深圳に退避するようにとの情報が回ってきたという。

いっぽう、中国官製メディアは11日以降、香港の抗議者が本土出身者に暴行を加えていると連日、宣伝した。中国紙・北京日報12日付は、「香港にいる本土出身の学生にとって、11日の夜は眠れない夜となった。理由はただ一つしかない。それは、暴力が激化して身に危険を感じたため、多くの学生が『香港から早く避難したい』と思ったからだ」と報じた。

香港メディアなどは、中国本土出身の学生が香港から撤退した後、中国当局はデモ隊をさらに厳しく取り締まるとの見解を示している。警官隊とデモ隊の衝突が一段と激化することで、香港政府が戒厳令に相当する「緊急状況規則条例(緊急法)」を全面的に発動する可能性が高まったとの指摘もあった。

中国官製メディア・環球時報が11日に掲載した社説では、抗議者に実弾を発砲した香港警察を「断固として支持する」と主張。また、「香港警察の後ろに中国の武装警察と中国軍の駐留部隊が控えている。必要に応じて直接増援する」とし、軍による武力鎮圧をほのめかした。

一方、台湾政府も13日、中文大学に留学している台湾人学生を国内へ退避させた。

米の中国問題専門家ゴードン・チャン氏は12日、政治系ニュースサイトのディリー・ビーストで記事を発表し、香港はすでに内戦状態に陥ったと述べた。また、中国当局の武力弾圧が「可能だ」としたうえで、効果はないと述べた。「高層ビルが林立する香港はゲリラ戦を展開する抗議者にとって有利だ」

(翻訳編集・張哲)

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