「中国移植ツアー阻止に法改正を」 日韓台の専門家が国会で報告会
日本の衆議院議員会館で11月29日、来日した韓国、台湾の医学界および法律の専門家は、日本の移植ツーリズムを考える会と共に報告会を行った。人道犯罪が懸念される中国渡航移植を防止するよう法整備を求めた。
米ニューヨーク州の弁護士で台湾国際臓器移植協会の法律顧問・朱婉琪氏は報告会で、移植ツーリズムを禁止したスペイン、イスラエル、イタリア、台湾の事例を紹介した。
台湾では2015年、「人体臓器移植法」の改正が行われ、渡航移植に関与したあっせん業者や医師にも罰則を科すことや、海外移植を受けた患者に移植管理当局への申告を義務づけるなどの内容を盛り込んだ。これは、台湾の世論が、生きている人から臓器が強制的に摘出されるという問題の認知度が高く、犯罪行為をほう助しかねないという世論の懸念を受けた結果だと朱氏は語った。
「台湾政府の資料によると、条例改正後は、台湾から中国へ移植渡航する人数が2007〜11年の800人から2015〜19年の360人まで大幅に減少した。このため、日本でも国会でこの問題を取り上げ、臓器移植法の改正が行われるよう希望する」と朱弁護士は語った。
国立台湾大学病院の雲林分院泌尿器科部長である黄士維医師は、2006年から、中国本土での臓器移植について、調査を行っている。現在まで300人あまりの移植患者にインタビューし、専門医や仲介者からも話を聞いた。その結果、移植病院の背後に臓器バンクが存在しており、臓器バンクの多くは中国軍が運営していることを発見した。
黄医師によると、台湾の医師が患者のデータを大陸の病院に伝えれば、病院は、数日以内に適合する臓器を見つけ手術日時を設定するという。
「適合する1つの臓器を見つけるためには、およそ3000人分の臓器が必要だ。当時台湾ではこの話の信憑性を疑う人が多かった」と述べた。その後、中国では法輪功学習者から強制的に臓器を摘出し移植しているという事件が暴露された。
台湾の人体臓器移植法改正により、中国での移植ツアーに出向く人が大幅に減少していることに触れ、「医師として、日本の患者に(人道犯罪に)関わらないように注意をうながしたい。また、日本国会ではぜひ移植ツーリズムの防止を議論していただきたい」と述べた。
韓国臓器移植倫理協会会長の李勝遠(イ・スンウォン)氏は、本土の病院がたった1回の電話で臓器の供給を保証できる状況は非常に奇妙だと述べた。李会長は、他の医学教授らと共に韓国政府に働きかけ、臓器移植関連法の改正案を国会に提出した。
李氏は、日本でも臓器移植ツーリズムを防ぐための法整備の促進を望んでいる。
中国臓器移植問題の周知を働きかける「SMGネットワーク」事務局長で、ジャーナリストの野村旗守氏は「まずメディアが(臓器問題を)伝えなければならない。同時に、議会は早急に法律を制定する必要がある」と述べた。
来日した台湾と韓国の専門家は11月28、29日に、日本の国会議員や閣僚と面会し、中国の臓器移植問題について意見交換を行った。山本朋広・内閣府副大臣兼防衛副大臣は、引き続き問題を注視し、法改正を進める具体的な方法について言及した。
山田宏・参議院議員は11月、国会で初めて、中国臓器強制摘出問題について取り上げた。外務省は、この問題について国際的に非難の声が上がっていると認知していると答弁した。
(盧勇/翻訳編集・佐渡道世)