中国、ファーウェイに非難の嵐 虚偽告訴で元社員が251日間拘束
米政府から制裁措置を受けている中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は中国国内で、現在「反米の英雄」から一転して批判の的になっている。
きっかけは、ファーウェイと元社員の間での退職金をめぐるトラブルだ。同社は、元社員を虚偽で告訴した疑いが持たれている。
元社員の李洪元氏は2005年に同社に入社し、太陽光発電インバータ業務部署に勤務していた。2016年、李氏は上層部に対して同部署のデータ偽造を内部告発したため、翌年、同社の人事管理部は李氏に雇用契約を更新しないと告げた。
2018年、李洪元氏が退社した際、約30万元の退職金を受け取った。退職金は人事部幹部の個人口座から送金されたため、ファーウェイが警察に通報した。深セン市当局は同年12月、業務上横領罪や退職金詐取の疑いで李氏を逮捕した。その後、李氏の妻が検察当局に、李氏とファーウェイ側の間で退職金について交渉した際の録音テープを提出した。今年8月下旬に当局はようやく「証拠不十分」として、李氏を釈放した。
中国国内の報道によると、李氏の業務上横領罪と詐欺罪が有罪と判決された場合、10年の有期懲役を言い渡される。
その一方で、ファーウェイは李氏への謝罪を拒否している。同社は声明で、「ファーウェイには、違法行為の疑いを事実に基づいて司法当局に通報する権利、そして義務がある」「李洪元氏が自分の権益が損なわれたと考えているならば、同氏もファーウェイを法的手段で提訴してください」と主張した。
中国の世論とネットユーザーは、ファーウェイの「傲慢な」態度に激怒した。中国メディア「澎湃新聞」は今月2日に社説を発表して、ファーウェイを強く非難した。記事は、ファーウェイは「上から目線だ」と糾弾し、「ファーウェイの通報のせいで、一人の市民が自由を失い、251日間も拘束された。謝罪するのが道理ではないだろうか?」とした。
カナダ政府が昨年12月、米政府の要請でファーウェイ創業者の娘で同社の最高財務責任者(CFO)を務める孟晩舟氏を、対イラン制裁違反で逮捕した。米政府は、ファーウェイが実質的に中国の情報機関であると認識し、締め付けを強化している。中国当局と官製メディアは、同社と孟氏を支持する宣伝を大々的に行ってきた。
中国版ツイッターでは、李洪元氏が長期間にわたって拘束されたことに同情の声が相次いだ。ネットユーザーは、ファーウェイがその絶大な権力を使って、内部告発をした元社員に報復したとバッシングした。
「ファーウェイと孟晩舟氏の『民族の英雄』というキャラ設定が崩れた」
「高級住宅に住み、莫大な財産と権力を持っている。彼女(孟晩舟氏)に同情する必要があるのか?それよりも、251日間も拘束された李氏を応援したほうがよさそうだ」
「李氏の報道を見て皆さんはもう目覚めたようだ。今まで私たちは『愛国』と煽られて、ファーウェイを支持したけれど、これからはファーウェイの肩を持つ人はもういないだろう」
「事実を偽って元社員を告訴したファーウェイは必ず倒産する。(創業者の)任正非、責任を負いなさい」
「(カナダが)孟晩舟氏を拘束したのを支持する。李洪元氏の恨みを晴らしてくれてよかった」など
一部のネットユーザーは、過去にもファーウェイの提訴で元社員や技術者らが拘束され、懲役刑を言い渡されたと指摘した。
(翻訳編集・張哲)