中国中小企業がピンチか アリババ馬雲氏「1日に5人から借金頼まれた」
中国国内景気の低迷で、民間企業の経営環境が厳しくなっている。中国電子商取引最大手、アリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は12月21日、中国上海市で行われた中国企業家のフォーラムで、「2019年、国内企業家は皆、大変だった」と述べ、自身が1日に5人の友人から「金を貸して」との連絡を受けたと明かした。いっぽう、中国当局は12月23日、民間企業への新支援政策を発表した。
馬雲氏は、「上海浙江商会年度会議」に出席した際、「以前は、一部の経営者が大変だったが、2019年は多くの企業にとって厳しかった」と述べた。
「昨日、多くの友人からお金を貸してくれという電話を受けた。1日に5回も。この1週間、資金調達のために不動産を売ろうと計画した友人は10人ぐらいいる。確かに厳しい状況だ。しかし、これはまだ難局の始まりかもしれない」
大紀元コメンテーターの李沐陽氏は、馬雲氏の発言は中国民間企業の資金難の深刻さを浮き彫りにしたと指摘した。
中国メディアは、中国屈指の大富豪である馬雲氏に電話できる人も「1億元規模以上の資産を持つ大富豪に違いない」と認識する。李沐陽氏は、「大富豪たちも資金難に陥っているなら、他の中小企業の厳しい状況を容易に想像できる」とした。
この状況に中国当局は22日、民間企業の経営環境を改善する28項目の新措置を公表した。新方針では、国営企業が独占する石油、ガス、鉄道、通信、金融などのセクターを民間企業に開放し、参入規制を緩和する。また、増値税(付加価値税)の税率引き下げ、企業の社会保険率負担の引き下げ、研究開発費用の税控除を増やすなど、民間企業の税負担を一段と減軽すると示した。
しかし、新政策は民間企業に対して、北東地域や中西部地域、他の貧困地域への投資を促している。同時に「民間企業と企業家を党の指導の擁護をするように教育するには、企業内に党組織を設立しなければならない」と中国共産党の思想教育強化を強調した。
「中国当局は、資金難の民間企業による債務不履行(デフォルト)の大規模な発生を回避するために、新28項目の政策を打ち出したのだろう」と李沐陽氏は話した。
米サウスカロライナ大学の謝田教授は、「中国当局の新政策は遅すぎた」との見方を示した。当局は近年、国有企業を優遇し民間企業を排除する「国進民退」政策を進めてきた。「このため、多くの民間企業はすでに倒産した。倒産していない企業も瀕死状態になっている」
(翻訳編集・張哲)