1月15日、米ホワイトハウスで中国の劉鶴・副首相とトランプ米大統領が貿易交渉の第1段階合意に調印した( MANDEL NGAN/AFP via Getty Images)

米中、第1段階合意に署名 専門家「関税は中国に約束守らせる唯一の方法」

米経済学者のスティーブン・ムーア(Stephen Moore)氏は、1月15日に行われた米中貿易協議の第1段階の合意を「米国にとって大きな勝利だ」と評価した。専門家は、中国当局が米製品の追加購入や知的財産権保護などの約束を守るのかに懐疑的な見解を示した。

大紀元時報英語版15日の報道によると、ムーア氏は米中国語テレビ放送「新唐人」の取材を受けた際、「中国側が多く譲歩したことに驚いた」と語った。ムーア氏は、現在シンクタンク、ヘリテージ財団のチーフエコノミストを務めている。2016年の大統領選挙キャンペーンでは、トランプ大統領の経済政策顧問を担当した。

ムーア氏は、「中国側が今回署名した第1段階の合意を今後、実際に履行するかどうかは別問題だ」とし、米政府が関税措置を維持したことが「中国当局に約束を守らせる唯一の有効な方法だ」との考えを示した。

米政府は第1段階合意の調印を受けて、2月、昨年9月発動済となった1200億ドル相当の中国製品に対する追加関税(第4弾)の関税率を15%から7.5%に引き下げる。しかし、2018年から実施した第1~3弾の追加関税、2500億ドル分に関しては、25%の関税率を据え置きにするという。

パーデュー米農務長官やマイケル・マコール米下院議員(共和党)などの政府高官と議員は、今回の合意について、中国当局による貿易不均衡を是正する必要な措置だと歓迎した。

いっぽう、チャック・シューマー上院院内総務(民主党)は、今回の合意に関して「極めて失望した」「あいまいで法的強制力がない」とし、中国側は「決して約束を履行しようとしない」との懸念を示した。

中国問題専門家のゴードン・チャン(Gordon Chang)氏もシューマー議員と同様の考えを示した。

チャン氏は大紀元の取材に対して、「特に、中国側が本当に米製品の購入を拡大するのか疑問がある」と述べた。

中国当局は今後2年間に、540億ドルのエネルギー、320億ドルの農産品、380億ドルのサービス、さらに780億ドルの米国製品を追加購入すると約束した。

チャン氏によると、中国ではアフリカ豚コレラのまん延と害虫のガ・ツマジロクサヨトウの広範囲にわたる発生で、農業が壊滅的な打撃を受けた。「この不足分を補うため米国などから輸入を余儀なくされるだろう」

これに対して、貿易戦で中国経済が失速しており、中国製造業が「病んでいる」。「米製品を大幅に買い入れることは中国製造業と中国経済にさらに打撃を与える」とチャン氏は語った。

さらに、同氏は中国側が知的財産権保護に関する約束を履行するかどうかは「不透明だ」との見解を示した。

チャン氏は、中国当局が今年1月1日に実施した「暗号法」や当局のハイテク産業振興政策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」を例に挙げ、「米企業などへの知的財産権の窃盗は習近平政権の政策に組み込まれている」と指摘した。

スティーブン・ムーア氏は、米中貿易戦は今後も続くとの見方を示した。第1段階合意は「まだ最初のステップだ。これからも多くのラウンドがある」と話した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。