日本政府は、新型コロナウイルスを「指定感染症」に指定する。医療費助成制度は外国人にも適用されるが、助成金に上限がある。写真は、紫禁城を背景に写真を撮る若い女性、1月26日撮影(GettyImages)

新型肺炎「指定感染症」に 医療費助成は外国人にも適用 負担額に上限

中国湖北省武漢市から広がった新型コロナウイルスは、感染範囲が拡大している。これを受けて安倍首相は1月27日、国会答弁で28日には「指定感染症」に指定する方針だと述べた。

「指定感染症」は、感染のまん延を防止するために、各都道府県知事が入院の勧告・措置を取ることがある。指定医療機関の治療を受けたあと、自治体から感染症の医療助成金が給付される。

香港鳳凰衛視(フェニックステレビ)の記者は27日、「非常に重要な情報」として、中国ソーシャルメデイア微博で「厚生労働省に問い合わせたところ、新型コロナウイルス感染者の外国人医療費も、日本政府が負担する」と投稿した。

この報道について、インターネットで話題となった。この投稿は約1万の「いいね」が付いた。「これで武漢人はみな日本に行くのか」「それは日本の納税者のための制度ではないか。外国人の治療のためではないだろう」「日本は先進文明と人道主義の国だ。外国人も同一視している。抗日を止めよう」

厚生労働省は大紀元の取材に対し、この指定感染症の医療費助成は、国籍要件を設けておらず、外国籍でも適応され、人数の制限もないと答えた。

しかし、この記者の投稿は、誤解を招きかねない。助成金額は、日本政府ではなく、各自治体が決めるもので、個人負担の上限を定めている場合がある。例えば東京都は所得に応じて、個人負担額の上限は月2万円までに設定している。

この担当者は「所得の証明を提出してもらうのは日本人でも外国人でも同じ。所得の高い人に助成はふさわしくない」と述べた。また、この医療費助成制度は「国民健康保険に加入済みの人を基本的に対象だと想定している。つまり、3割負担のなかの一部が助成となる」とした。

さらに「我が国に入国する外国人には、基本的に保険加入を勧めている」と付け加えた。

もし別の疾患が見つかった場合、助成の対象にならないという。

香港メディアの報道が中国のソーシャルメディアで話題になっていることについて、担当者は「日本は法律に基づいて粛々と対応する」と回答した。

香港政府も国籍に関係なく、新型ウイルス患者の治療費を全額公費で負担すると発表した。香港では現在、いずれも武漢から香港に入った6人の感染者が確認された。

中国メディアの第一財経によると、武漢市が事実上、閉鎖された23日までの20数日の間に訪日した武漢市民は1万8008人。26日には、武漢市から旅行で愛知県内を訪れていた40歳代の男性に、新型コロナウイルスの感染による肺炎が確認されたと発表した。日本国内の感染者は4例目。

武漢市は27日、同日から30日まで市民の入出国を事実上、停止すると発表した。

(佐渡道世)

関連記事
アメリカ議会下院特別委員会は新型コロナの最終報告書を発表。中国の責任や対策の教訓を指摘している
アメリカで依然としてエリス変異株が主流である中、科学者たちは新たなCOVID-19変異株「ピロラ」(BA.2.86)に注目しています。ピロラは多くの変異を持ち、免疫回避の可能性が指摘されていますが、感染力は低い可能性もあります。現在のワクチンや治療法が効果を持つことが期待され、今後の監視が続けられます。
中国で新型コロナウイルスの強力な変異株KP.2とKP.3が急速に拡大。多くの医療従事者も感染し、病院は満杯だという。学校での集団感染リスクも増加。個人防護の強化を求める声が高まっている
WHOは、世界中で新たな感染の波が起こっていると警告した。各国政府に対し、新たなワクチン接種キャンペーンを開始するよう要請している。
ミネソタ州最高裁判所は6対0で、州の新型コロナウイルス緊急事態宣言は合法であるとの判決を下した。