【紀元曙光】2020年1月31日
状況が緊迫しているのは、医療現場だけではない。武漢では、市民が正常に生活するための基本的な都市機能が、全て麻痺している。
▼麻痺とは、静止していることを意味するのではない。自身と家族を守って生き残るために必死となった人々は、平時なら遵守して当然の社会秩序を、今度は破壊する側に回るのである。屋外に出ることが制限されているので、かろうじて暴動には至らないが。
▼その危うさを当事者でないものが軽々には批判できない。しかし、ひとたび無秩序となり無法地帯となったら、それを回復することが極めて困難になることは疑いないだろう。
▼すべての物資が不足している、というより完全に消えた。ささやかな予防の手段であるマスクは、法外な高値がつけられ、それでも薬局から売り切れている。医薬品はもちろん、医療用アルコール、防護服なども消耗品であるため、すでに使い尽くした。過労で倒れる寸前の医師に、もっと闘えと精神論を言っても、撃つべき弾がないのである。
▼それでも病院には患者が殺到している。看護師は、大声を上げて「入口に並んで。声を出さないで」と指示するばかりで、患者は何時間待っても一向に診てもらえない。待たされた病院の廊下で昏倒し、なかにはそのまま息絶える人もいる。
▼通常なら決して高くない野菜が、すべて数十倍の値段にはね上がっている。その他の食品も同様に、理不尽な売値がつけられている。ある程度の倫理道徳が熟成された社会ならば、たとえ非常時においても非常識な経済は緩和されるのだが、残念ながら共産党下の中国にそれはない。
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