2月15日、フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、ミュンヘン安全保障会議に出席した(GettyImages)

SNSには言論の自由が必要=フェイスブックCEO

「中国のような抑圧的な国々が情報の自由な流れに関する規則に影響を与えるなか、ソーシャルメディアは、オンラインの言論の自由を維持する枠組みを採用する必要がある」。フェイスブック(Facebook)創業者のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、2月14~16日に開催されたミュンヘン安全保障会議で、各国の代表者に語った。

ミュンヘン安全保障会議は、世界100カ国以上の首脳、閣僚級の安全保障および外交担当が集う国際会議。1967年から毎年2月に開催される。

ザッカーバーグ氏は、中国のような共産党体制の国が「権威主義的価値」をインターネット空間の表現の自由に対して規制を取り入れており、この方法を他国にも強いていることを「非常に懸念している」と語った。

「権威主義モデルが最初に採用される前に、民主的な価値、オープンな価値が基盤となるよう迅速に前進しなければならない」とザッカーバーグ氏は語った。

ザッカーバーグ氏はかつて、親中派の企業家として知られた。中国参入のために、中国の情報検閲当局の高官をシリコンバレーの社屋に招いたり、北京の清華大学で開かれた年次会議に出席したりしていた。

しかし、2019年10月17日のジョージタウン大学でのスピーチで、態度に明白な変化があった。中国は、表現の自由に対する最大の脅威だと非難した。また、価値の著しい相違により、中国市場に進出しないことを表明した。

「最近まで、中国以外のほぼすべての国のインターネットは、表現の自由という価値を持つ米国の企業によって造られてきた」「しかし、これらの価値が今後も優位に立つという保証はない。 今日、インターネット企業のトップ10のうち6つが中国だ」とインターネットの自由への危機感をあらわにした。

「法律が、自由な表現と人権を損なうことは非常に悪いことだ。しかし、各国が他の国々に言論の制限を課そうとすることは、さらに悪いことだ」「中国は、インターネット(監督)の手法を他の国に輸出している」とザッカーバーグ氏は述べた。

3万5000人の従業員を抱えるフェイスブックは現在、コンテンツを審査し、セキュリティの問題を処理していると述べた。毎日100万を超える偽装アカウントを停止しているという。

20億という世界で最も多くのユーザー数を抱えるSNSのフェイスブックには、今後、表現と検閲に関する規定について、米連邦議会で議論される。

共和党は、フェイスブックは保守派のアカウントを不正に締め出しており、偏向性を持って検閲していると指摘している。ジョシュ・ホーリー上院議員は、反保守的な政治的検閲を除去するために、法律が必要であると主張している。

いっぽう、民主党は真逆の視点で、フェイスブックがトランプ大統領を支持し、2016年の当選および2020年の再選のためのキャンペーンを手助けしていると主張している。ロシア当局は、トランプ氏当選のために、フェイスブックを利用したと明らかにしている。

欧州連合は、国家の枠を超えて巨大な影響力を持つフェイスブックに、独占禁止法を適応することを検討している。

こうした背景のなか、ザッカーバーグ氏は「有害なコンテンツには規制が必要だと思う」とし、枠組みの程度は議論の余地があるとした。たとえば、記事内容に責任を問われるオールドメディアよりも柔軟なルールであるべきだとした。また、電話やメッセージで暴力的な発言を受けたら、通信会社が情報開示する義務がある例を挙げ、通信会社とメディアの中間に位置する規制が望ましいとの見方を語った。

米ニューヨーク・タイムズは、ザッカーバーグ氏の登壇時間が、各国代表者よりも長かったとして、ソーシャルサイトなど大型ネットワークは国家の安全保障に関わることを示すと報じた。

ミュンヘンで法律を学んだ在米弁護士ニック・オーバーハイデン氏は、大紀元の取材に応じ「フェイスブックは、一国の政府機関のデータベースと競合し、代替できるデータベースさえも構築している」「ミュンヘン安全保障会議に出席した各国は、SNSが提供するデジタル情報にますます依存している」と語った。

しかし、こうしたSNSがかかえているビッグデータに「すべての国が同じアクセス権を持つべきだろうか」と疑問を投げかけた。そして、反米的な価値を持つ国の代表者は、ザッカーバーグ氏と親しくなろうとするだろうとの推論を示した。

(MATTHEW VADUM/翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。