全米知事協会のホワイトハウス・ビジネスセッションが2月10日、大統領府で開かれた(GettyImages)

北京シンクタンク 米50州知事を対中「強硬」「友好」「浮遊」「態度不明」に分類

中国のシンクタンクは米国分析報告書で、50人の米国州知事の態度を評価し、「強硬」「友好」「浮遊」に分類している。米国務長官は、米地方政治が外交戦の標的になっているとして、各州知事に警告を発している。

ポンペオ米国務長官は、2月8日、全米知事協会の冬季会議の演説で50州の知事および地方官僚に向けて、「米国と中国の競争」をテーマにした講演を行った。このなかで、北京拠点のシンクタンク・民智研究院(DC ThinkTank)と清華大学グローバリゼーション・リサーチセンターが2019年6月に発表した「中国に対する米国の態度の全景」を引用した。

民智研究院は、中国政府との関連はないとしているが、中国共産党の統一戦線部と提携していると説明している。

民智研究院による報告は、トランプ政権誕生後かつてないほど米国が対中強硬路線に傾くなか、地方政治の傾向を分析している。「州知事はホワイトハウスの命令を無視することができる。州は、地方自治を行っている」「連邦政府と州政府は上下関係になく、州政府は連邦政府の事情を伺う必要はない」と書かれており、米国の連邦制度における地方権限の強さを強調している。

報告では、50州の知事の経歴、政党、中国に対する態度、州のGDP、貿易総額、中国との貿易についてまとめている。50人の知事のうち、17人は中国に友好的であり、14人は態度が曖昧で、6人は強硬路線、14人は対中政策に明確な言及がないとした。強硬な6人の知事は、主に中国の人権や民主主義に関心をもち、経済貿易への言及が少ないとしている。

さらに、中国に対する州知事の態度と任期の長さの間には一定の相関関係がある、とも指摘している。たとえば、任期終了間近の11人と、選挙の圧力にさらされている5人は、明確な反中国的態度を持たず、主に曖昧または問題を避ける傾向にある。

具体的には、マサチューセッツ州知事チャーリー・ベイカー氏は2018年12月、「米国は、中国をただ経済発展の国としてみるのではなく、世界中の問題を解決する価値あるパートナーとしてみるべきだ」と述べていることをあげ、対中友好姿勢だと評している。いっぽう、ジョージア州知事ブライアン・ケンプ氏は「敏感な(米中)貿易交渉で、政権のいかなる決定も支持したい」と語ったことから、対中強硬路線と見なしている。

ポンぺオ長官は知事協会での演説で、北京が州レベルで「友好的、強硬路線、浮遊する、とそれぞれ分類した。(米中の)競争はすでにあなたの州に現れていて、米国の国家安全保障に影響を与えている」「米国の弱点を見極め、米国の制度の開放性を利用して政治介入の試みがある」とした。

ポンペオ長官は演説の中で、米国は新型コロナウイルスに苦しむ中国の人々のために、18トンの物資と1億ドル以上の資金を支援したことを明らかにした。しかし、同時に「中国の行動と戦略的意図を無視することはできない。中国は米国政府のすべてのレベルに浸透している」と強調した。

長官は、全米50州の知事ら政策リーダーに対して、中国への対応には、レーガン前大統領の格言「信頼するが、確認する」を引用して、慎重さを欠かさないよう警告を発した。

(翻訳編集・佐渡道世)

 

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