米高官、国連WIPO事務局長の中国候補者選出に警鐘 「各国の知財危機」
米国政府高官は、中国の支持を受けた候補者が国連組織の世界知的所有権機関(WIPO)の新たな事務局長に選出されれば、多くの国における知的財産の保護が深刻に脅かされると警告している。
WIPOは、3月上旬に事務局長の候補者を指名する。
米国務省の経済開発、エネルギー、環境問題担当次官キース・クラーク氏は2月19日、VOAに語った。
「経済的安全の鍵は米国資産である知的財産の保護だ。中国はこれらの盗難、サイバー攻撃、その他の事件の90%に責任があるとみられる。皮肉なことに、中国には候補者がいる。多くの国がこれに疑問を呈しているだろう」
クラーク氏は、経済活動のセキュリティ問題は、国家安全保障のひとつだと、トランプ政権の方針を語った。
さらに、世界貿易機関(WTO)の問題について取り上げた。米トランプ政権は、中国のWTO参加は失敗」との見方を示している。
2001年、米国が対中融和路線だったクリントン政権時代、中国はWTO加盟に成功した。以後、安価な中国製品の大量の流通を許すことになった。加盟後、中国の対外貿易は20%増、30%増と二桁増を続けた。
しかし、クリントン大統領が期待していた「中国は自由主義経済による自由と民主の国になる」は幻想であると、貿易赤字に取り組む米トランプ政権は見ている。中国共産党は西側諸国との闘争の精神を変えていない。
2018年、トランプ政権の通商代表部(USTR)年次報告書では、「中国のWTO加盟は経済開放が進んでおらず、(当時の米政権がWTO加盟を指示したことは)失敗だった」との見解を示している。
クラーク氏によると、さらなるWTOの問題は、世界で2番目に経済規模の大きい国が、「発展途上国」だと主張し、その位置から多くのメリットを不当に享受しているという点だ。同氏によると、WTOの理念である多国間主義は、不公平な競争環境を作り出しているとし、トランプ政権はこれを問題視していると述べた。
(翻訳編集・佐渡道世)