GettyImages

世界で一番物忘れのひどい人

昔、魯の哀公が孔子に尋ねた。「物忘れのひどい人が引っ越しをした時に、妻を置き去りにしてしまい、焦って妻を探し回ったという話を聞きましたが、世間にこのような人は本当にいるのでしょうか?」

孔子は言った。「このような人は、物忘れがひどいとは言えません。それよりひどい人は『己』を忘れてしまった人です」

哀公が言った。「それは、本当に物忘れがひどいですね。どのような人を指すのでしょうか?」

孔子は答えた。「昔、夏の桀王は天下を手中にし、富貴を極めましたが、先祖の教えを忘れ、法制を破壊し、祭祀を廃止し、酒色や享楽におぼれました。奸臣は阿諛追従(あゆついしょう・相手に気に入られようとして、こびへつらうこと)し、忠臣は罪科が下されるのを恐れ、口を閉じました。結局、桀王の統治は反乱に遭い、終焉を迎えました。桀王のような人こそ、人の道理を忘れ、己を忘れた世界で最高に物忘れのひどい人です」

(『孔子家語』より)

(翻訳編集・柳小明)

関連記事
消化を助け、健康にも効果的なクミン。風味を加えるだけでなく、日常的に取り入れることで得られる健康メリットを紹介します。次回の料理にぜひ試してみてください!
産後うつ病は、母親の7人に1人が経験するとされます。症状を見逃さないための兆候や治療法、そして家族で支える方法を紹介します。
日本でも人気の中華料理・刀削面はもともと山西省の一般家庭の主食でした。太くもちもちの面にパンチの効いたつけ汁を絡めて食べるのも最高ですが、料理人の手慣れた包丁さばきを鑑賞することもこの料理ならではの醍醐味と言えるでしょう。実は刀削面の調理法は歴史と深い関わりがあり、知られざる誕生秘話がそこにはあります。
ほうれん草は栄養満点のスーパーフード。目の健康や心臓病予防、がん対策、さらにはダイエットや肌のアンチエイジングにも効果が期待できます!食卓に取り入れて、健康的な毎日を目指しませんか?
中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、お茶である」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。