写真は2月9日、北京で体温検査を受ける市民。参考写真(GettyImage)

「市場に出ている額式体温計の半分が偽物」=中国メディア

中共肺炎新型コロナウイルス感染症)が猛威を振るうなか、マスクのほかに、体温計などの非接触体温計への需要が高まっている。欧米各国では中国製のマスクの品質に不満が噴出する一方、中国国内では、悪徳業者がフェイクの体温計や劣悪品の体温計を製造・販売し、巨額な利益を得たと報じられた。

タイのネットユーザーはこのほどツイッターに、額式体温計についての動画を投稿した。ネットユーザーは、この体温計で「いくら体温を測っても、37度を超えることはなかった」と訴えた。動画の中で、このネットユーザーは体温計の蓋を取り外してみると、内側に電子部品が一つも入っていないことが分かった。蓋の部分の裏に緑色のプリント基板しかない状態だった。しかも、このプリント基板が取り外された状態でも、体温計は「普通に体温を測っていた」という。

タイのネットユーザーはこのほど、ツイッターにフェイク体温計に関する動画を投稿した(スクリーンショット)

ネットユーザーは動画の中で、体温計のパッケージを見せたが、生産地は示されていなかった。ネットユーザーは、中国製だとみて、「中国の品質には驚かないよ」と言った。

3月末、中国国内ネット上では、フェイクの体温計に関して一人の実業家の発言が波紋を呼んだ。広東省東莞市にある顥峰電子科技有限公司の張懸東社長は、SNS「微信」のグループチャットで、フェイクの体温計を製造して米国に販売するよう呼びかけた。「39度の熱のある人の体温を測っても36度5分にするから、アメリカの感染者を増やしていこう」と書き込んだため、張氏への非難が殺到した。

張氏は3月29日、中国メディア・大白財経観察の取材に応じ、発言について「愛国感情によるジョークだった」と弁明した。

一方、中国ネットユーザーも相次いで、微博などのSNSで、フェイクの体温計を誤って購入したと訴えるコメントを投稿した。

中国紙・新京報は4月13日、悪徳業者らが生産メーカー不明で生産日や品質認証証書などのない、いわゆる「三無」の体温計を製造・販売し、莫大な利益をだまし取ったとの調査記事を掲載した。同紙の記者は、額式体温計のメーカーや小売り業者が集まるSNS上のグループチャットに加わり、潜入調査を行った。

これによると、悪徳業者はブローカーを通じて、品質認証証書などを入手している。一人のブローカーは同紙に対して、「製品の品質にかかわらず、2万元(約31万円)を出せば、最短で3日以内に品質検査の証書をもらえる」と話した。また、額式体温計の小売業者は「市場に販売されている体温計の半分が偽物だ。この状況にもう慣れた」と話した。フェイクの額式体温計は1台あたり約300~400元(約4584~6112円)で売られている。

また、ネット通販サイトで「額式体温計を販売している」と偽った詐欺犯罪も後を絶たないという。

(翻訳編集・張哲)

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