1997年10月6日、カリフォルニア州で開かれたブラット・ピット主演の映画「セブンイヤーズ・イン・チベット」映画試写会に詰めかけた、チベットの自由を訴える人々(GettyImages)
掛谷英紀コラム

新型コロナ問題を拡大させた左翼と新自由主義の共存共栄

前回述べた通り、新型コロナウイルス問題において最も大きな責任があるのは、情報を隠蔽するとともに、他国による中国からの入国制限に反対して感染者を海外に旅行させ、ウイルスを世界中にばら撒いた中国共産党であることは間違いない。しかし、中国共産党には重要な共犯者がいることを忘れてはならない。それは新自由主義(※1)を掲げるグローバリストである。彼らが推進してきたグローバリズムが、ウイルスの世界的拡散を容易にするとともに、医療物資不足で被害を拡大させたことも見落としてはならない事実である。

そもそも、中国の急速な経済成長の裏には、新自由主義者の多大な貢献があった。中国の安い労働力を使って利益を上げようと考えた新自由主義者たちは、資本の国際的移動の自由を推進してきた。1990年代、天安門事件やチベット弾圧など、中国を巡る人権問題に対する国際世論の関心が今より高かったことは、1997年に映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット(Seven Years in Tibet)』がヒットしたことからも分かる。同様に、中国の知的財産権軽視も世界から問題視されていた。東西冷戦の余韻も残っており、独裁的な政治体制に対するアレルギーも今より大きかった。にもかかわらず、2001年の世界貿易機関(WTO)加盟に象徴されるように、中国が国際社会の中に取り入ることができたのはなぜか。それは、「国際秩序に取り込めば、中国はルールに従うようになる」という新自由主義者のウソに人々が騙されたからである。

米国の政界では、民主党に中国のシンパが多い。クリントン財団と中国との癒着、今年の大統領選の民主党候補になったジョー・バイデンの息子と中国との蜜月関係などは有名である。バラク・オバマも大統領の任期を通じて中国には一貫して融和的で、それが中国の南シナ海軍事要塞化を許す結果となった。一方、共和党には中国シンパはほとんどいない。これが日本の保守勢力との大きな違いである。私は共和党の中心に宗教右派がいることが、この違いの背景にあると考えている。前回も述べた通り、中国、ソ連をはじめとする共産主義勢力は昔からハニー・トラップを好んで用いるが、性の戒律を守る宗教右派には効かない。これが性にだらしない日本の保守政治家との大きな違いである。(もちろん、日本の左翼政治家がもっと性にだらしないことは、昨今の不祥事から明らかである)

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