1月23日に都市封鎖措置が実施された武漢市内で人影がまばらとなった(Getty Images)

湖北大学の女性教授、不適切な言論で調査受ける かつて反日宣伝に疑念

中国湖北大学文学院の梁艶萍教授(59)は、「不適切な言論」のため、同大学から調査を受けていることがわかった。最近、梁教授は、「武漢封鎖日記」を執筆した同市の女性作家、方方氏(65)を支持する言論を発表した。親日家で政府の反日プロパガンダを疑問視し、五毛党に「精日分子」とのレッテルを貼られている。

湖北大学は4月26日、梁教授がSNS上で行った「不適切な言論」について調査し始め、「厳粛に処分する」との声明を発表した。梁教授の専門は美学・文芸学や文芸評論で、同大学で博士課程の指導教官を務めている。

一方、方方氏は「武漢日記」で、中共肺炎新型コロナウイルス肺炎)の感染拡大で、苦しい籠城生活を強いられた武漢市民の日々をつづり、1億人が閲覧するなど大きな話題となった。日記では、政府対応の不手際、死者数の隠ぺいを厳しく追及し、幹部らは「謝罪し辞任すべきだ」と繰り返し求めた。

4月中旬、米国とドイツの出版社が、今夏に『武漢日記』の英語版とドイツ語版の出版を発表した。中国国内では、官製メディア「環球時報」の胡錫進・編集長や「五毛党」が、「売国奴」と毎日のように、方方氏に罵詈雑言を浴びせた。梁教授は3月22日、SNSの微信に投稿し、方方氏への誹謗中傷について憤慨し、中共肺炎をめぐる中国当局の初動対応を非難した。

投稿で、梁教授は、中国当局は国民の命や安全を考慮し、タイムリーに感染情報を公開しなかったと糾弾した。当局が「隠ぺいして、(感染状況を)無視し」「対応を先延ばしした結果」、武漢市民を「パニックかつ孤立無援の状況に陥れた」。

梁教授は、方方氏が書き下ろした「武漢日記」は、「人道主義とヒューマニズム」を表したと評価した。

昨年、香港市民が行った大規模な抗議活動について、梁教授は黒いマスクをつけた自撮り写真などをSNS上に投稿し、香港市民にエールを送った。

2006年、東京大学で一年間、客員研究員として美学・芸術学を学んだ。「日本の民度は中国より100年リードしている」「南京大虐殺で30万人の死者が出たと主張するなら、名簿を出す必要がある」など、中国政府がタブー視する発言を繰り返した。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。