Pixabay

線香をあげるよりも善行が大事

清朝の時代、偉大な慈善家として尊敬を受けた人物がいた。彼の名は向従楷(向世楷)といい、「向仁公」という愛称を持つ。仁公は心優しく、84歳でその生涯を終えるまで、多くの困っている人たちを助けた。

 仁公は、よく村の出入り口にあるあずまやに通っていた。そこは、旅費がなく家に帰れない人や、貧しくて医者に診てもらえない病人たちを援助する場所だった。彼は天災や人災に見舞われた人を匿い、親戚間の不仲や兄弟ゲンカの仲裁なども行った。

 ある日、仁公は顔色のよいとても元気な80歳の年寄りに出会った。老人は、ちょうど仁公を探しているところだったと言って、身の上話を始めた。

 老人は敬虔な教信者で、南岳の寺への参拝を数十年間続けていた。年を取り、動きが緩慢になったため、今年は通常より一日早く参拝に行った。老人は正殿に入り、南岳菩薩に、「今晩、私は祭壇の下で一晩休みます。夜が明けたら私が誰よりも最初に、線香をあげられますように」と願った。

 深夜、南岳菩薩が現れて老人に言った。「あなたは数十年間、休まず参拝してきましたが、椅子村の仁公と比べると、彼の功徳には、はるかに及びません。彼はすでに120年間参拝しているのですから、最初に線香を手向けるのは、当然彼です」。老人は驚いて目を覚ました。それは夢だったが、正殿には灯がきらめき、線香の香りが漂っていた。間違いなく、仁公がすでに線香をあげたのだろう。老人は仁公の行いに感心し、彼を尋ねることにしたのだった。

 老人の話を聞いた仁公は驚いて、「私は、南岳の寺の場所さえ分かりません。実は、一度もそこへ参拝したことはないのですが」と話した。老人は愕然とした。仁公は少し考えてから、老人を自分の家へ連れて行き、一串の銅銭を取り出して老人に数えてもらった。ちょうど120枚だった。仁公は、「私は毎回、善事を行う際、1枚ずつ銅銭を串に刺して連ねます」と説明した。老人は、「一つの善事は、一年に一度の参拝に等しい。神様は人の善行こそが重要であるとみなされ、明白にそれを記載してくれる。本当に、頭上三尺に神ありと言われる通りだ」と悟ったのだった。

 毎年参拝する老人より、仁公のほうが真に仏を信じていた。仁公の行いは、美談として今も人々の心に残っている。

(翻訳編集・李頁)

 

関連記事
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。
神韻芸術団2025年日本公演間近、全国42公演予定。伝統文化復興を目指す公演に観客の支持と絶賛の声が相次ぎ、チケットも記録的な売上を上げている。