kordula vahle/Pixabay

<東西洋神話伝説 自殺の罪1> イタリア『神曲』:地獄中の自殺者

苦しみに絶えられず自殺する人がいます。人は死んで本当に終わりなのでしょうか?洋の東西に関わらず、伝説や古典では自殺について考え方が同じで、自殺した人は罪を償うために死後も生前の何倍も苦しむと見ています。

神曲』は13世紀から14世紀にかけてのイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリの代表作です。地獄篇、煉獄篇、天国篇の3部から成り、イタリア文学最大の古典とされ、世界文学史にも重きをなしています。

『神曲』において、地獄の世界は、漏斗状をしていて、最上部の第一圏から最下部の第九圏までの九つの圏から構成されます。地獄の階層は下に行くに従って罪は重くなり、受ける罰も重くなります。自殺した者は第七圏の第二環にいます。

第七圏の第二環は「自殺者の森」で、自ら命を絶った者がここでねじ曲がった奇怪な樹木と化して女面鳥身のハルピュイアに葉を啄ばまれます。

ピエロは神聖ローマ皇帝、フリードリヒ2世の大臣で、娼妓が彼を反対するよう多くの人に煽り立てたため、羞辱に絶えられず死によってこの侮辱から逃れると思い、自ら命を絶ちました。死んだ後、ピエロは「自殺者の森」に落ち、灌木になりました。もし誰かが木の枝を折ると、血が流れ、ピエロは激痛を感じます。

自殺の罪は、自分に暴力を振る舞い、肉体を消滅したという罪で、自殺した人はこの第七圏の「自殺者の森」に落ち、彼らの魂は種のように植えられ、 灌木となります。長年、毎日のようにハルピュイアが自殺者の身体である木の葉を啄ばみ、彼らに苦痛を与えます。彼らは永遠に解放されることのない罰を受け続け、人間として生まれ変わることは極めて難しいことです。

ダンテの『神曲』では例外もあり、自由のために戦い、敵への降伏を拒んで自害したカト(Cato)は、最後の審判の日の後、自分の体を取り戻し、天国に登りました。

参考資料:

『神曲』

(翻訳編集・唐玉)

関連記事
1271年、モンゴルのフビライ・ハンが元を建て、初めての漢民族以外の皇帝となりました。その後、数十年にわたり、中国はかつてない規模の帝国となり、元は文化の多様性と国際貿易の栄えた時代となりました。
明の最初の皇帝・太祖の生い立ちは、朝廷生活とはほど遠く、彼は朱元璋と名付けられた農民の子供でした。彼は最初、僧侶の道を歩みましたが、モンゴル主導の元が朝廷内の闘争で弱体化する中で反乱軍に参加し、まもなく右に出るもののいない軍事家として才気を発揮することとなりました。
胃酸逆流の症状を抑える等、一般的な胃腸薬を服用している人は、知らず知らずのうちに偏頭痛を発症するリスクを高めているかもしれません。 このような一般的な治療薬と偏頭痛との関連性について、アメリカ神経学アカデミーが発行する「Neurology Clinical Practice」オンライン版に掲載されました。研究では、胃腸薬が偏頭痛を直接引き起こすとは断定されていないものの、両者の間には何らかの関連があるのではないかと考えられています。
子供のいじめ、自殺、暴力・・・昨今、心の痛むニュースが後を絶えません。生まれてきた時は、誰もが純粋で善良だったはずなのに、何が子供たちを悪へと走らせるのでしょうか。人生には学校の教科書から学ぶことのできない、大切な価値観があることを子供たちへ伝えることが重要です。将来を担っていく子供たちに、ぜひ読んでもらいたい物語を厳選しました。
さまざまな予測不可な症状に悩まされていませんか?一つの症状が改善されると、また別の症状が現れると感じていませんか?それはマスト細胞活性化症候群(MCAS)が原因かもしれません。