米政府、香港での不動産を売却へ 資金引き上げの見方も
米政府が香港の高級地区にある不動産を売却する動きを見せている。トランプ政権は5月29日、香港市民の抗議活動を禁止する「国家安全法」の導入を決定した中国当局への制裁措置として、「一国二制度」を前提とした香港への特別優遇措置を停止すると発表した。今後、香港からの米国資金の引き上げが拡大するとの見方がある。
ブルームバーグは5月30日、米国務省の担当者が電子メールの中で、米政府が香港にある不動産を売却していると明かした、と報じた。
同担当者は、「国務省資産管理局は、グローバルな再投資プログラムの一環として、米政府は保有している海外不資産を定期的に見直している」とした。また、「米総領事館のオフィスビルを含む香港にある米政府所有の資産の強化のため投資する」という。
香港メディア「香港01」が最初に売却を報道した。これによると、同不動産は、香港島南区寿山村道にある6階建てのビルで、米政府は1948年以降所有している。米総領事館の職員寮として使われている。不動産価値は100億香港ドル(約1390億円)だという。
香港実業家で、香港科苑電子と香港国葉控股有限集団の創業者である袁弓夷氏は30日、大紀元の取材に対して、「米政府は今後、香港からの資金引き揚げを拡大し、米国民の帰国を促していくだろう」との見方を示した。香港と米国の政治・経済界に太いパイプを持つ同氏は、米政府と米企業の香港での投資規模が2兆~3兆ドル(約215兆~323兆円)にのぼると推測する。
トランプ米大統領は29日、ホワイトハウスで中国政策について会見を開いた際、香港への特別優遇措置廃止を発表したほか、中国当局の支配下にある世界保健機関(WHO)からの脱退や、香港の自治を損なう動きに関与する中国や香港の当局者に制裁を課す方針などを示した。袁氏は、トランプ政権の対抗措置は、「中国共産党政権を瓦解させていく決心の現れだ」との見解を示した。
(翻訳編集・張哲)