【紀元曙光】2020年6月15日

(前稿の続き)司馬さんの著述を「夜道の提灯」にして、もうしばらく筆を進める。

▼映画では、スカーレットの父ジェラルドがアイルランドからの入植者。母は、フランス貴族系の家柄という設定だが、いずれも米国における本当の貴族ではない。南部で事業に成功した富豪がつくった社交界という架空の貴族趣味。それが、南北戦争まえの、十代の娘だったスカーレットの周辺だった。

人種差別黒人差別を頭の片隅に置きながら、別の角度から小欄を書こうと思う。ジェラルドは移民してきた米国で、一代で巨富を築いた人物だが、創作上の設定はともかく、実際にアイルランドから渡米した人々は、どうだったか。

▼多くは19世紀のジャガイモ飢饉で飢餓地獄となったアイルランドから、極貧のまま米国へ逃げ渡った人々であった。彼らの大半は、アイルランドでは被差別民のカトリック教徒である。当然、無一文から始まるのだが、彼らは、良くもわるくも強靭でしたたかだった。

▼そのアイリッシュの強靭さを、若くしてオハラ家の当主となったスカーレットが継いでいく。南北戦争後、生きる手段としての再婚相手を得ようとする彼女は、着ていくドレスがないので、緑のカーテンを引きちぎってドレスにしてしまう。不格好な衣装だが、凛とした表情で、まっすぐに歩くスカーレット。後ろに、黒人メイドのマミーが続く。

▼時代が飛ぶが、そうした米国のアイルランド系から、すでに複数の大統領を輩出している。ジョン・F・ケネディ、ロナルド・レーガン、ビル・クリントン。オバマ大統領は、母方の先祖がアイルランド人という。(次稿に続く)

関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。