米シドニー大報告、印太平洋政策で「米と関係強化」呼び掛け
豪州シドニー大学米国研究センターは6月23日、インド太平洋政策に関する報告を発表した。このなかで、中国との間で緊張が高まるなか、米国と防衛、サイバーセキュリティ、インフラ整備に関して、オーストラリア政府は米国との協力関係を強化すべきであると主張した。
「インド太平洋の再興:パンデミック後の豪米政策オプション(Building Indo-Pacific resilience: Australian-US policy options in the wake of pandemic)」と題された報告書は、米国の世界的な影響力が低下し、中国が「高圧的な国家戦術」を展開するなか、世界のパワーバランスが変化していると指摘した。
報告は、「中国の影響力圏の形成拡大につながる可能性があり、米国やオーストラリアなどが以前に享受していた影響範囲を縮小させる」と警告を発している。また、同盟国が力を合わせ、太平洋地域の関係国に対して医療システムやデジタルインフラの開発も支えながら、相互の軍事協力を強化すべきだとした。
近年、中国共産党によるオーストラリアの政治、社会、学術、経済に対する内政干渉が表ざたとなっている。さらに、豪州政府が中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源について独自の国際調査を開始すると呼び掛けて以来、オーストラリアに対する中国の敵意は更に増した。
オーストラリア当局によれば、中国当局は中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)の流行中、アジア人に対する人種差別的な攻撃があるとの虚偽の情報を提供し、ネガティブな印象をもたらし、観光客や留学生に渡航を意図的に制限させたと指摘する。マリス・ペイン外相は最近の演説で、中国政府が虚偽の情報を操り「恐怖と分裂のムードを作り出している」と批判した。
スコット・モリソン首相は19日、政府や学術機関、企業などが「洗練された国家的規模のサイバー攻撃」を受けたと発表した。モリソン氏はその国家の名前を明らかにしていないが、豪メディアABCは匿名政府関係者の話として、中国によるものと考えていると報じた。
この報道について、中国外交部報道官は強く反発し、国家的なサイバー攻撃についての疑惑は「根拠がない」と否定した。
(翻訳編集・佐渡道世)