【紀元曙光】2020年6月27日
(前稿より続く)日本人は、総じて言葉に「唐」を使うのが好きなのだろう。嫌いなら、使うはずもない。
▼中国の唐王朝と関係がなくても、そう言う。純然たる日本建築の様式に唐破風(からはふ)造りというのがあり、寺社の門や城郭の屋根などに見られるが、ここにも唐の字が入っている。
▼京都の西本願寺の境内に、豪華な唐門(からもん)がある。ここに移築される前は、豊臣秀吉の聚楽第(じゅらくだい)にあったとも、あるいは伏見城に造られたものだとも言われる。これだけ豪華な門なら寺史に記録があろうと思うのだが、はっきり分からない。この唐門も日本建築である。
▼韓の字を「から」と読むこともある。ここで少し整理しておくが、3世紀から6世紀中頃の朝鮮半島の南端に、新羅と百済に挟まれた小さな国があった。現代の韓国はその存在を認めたくないらしいが、任那(みまな)加倻(かや)加羅(から)などの呼び方があって、実在していた。
▼日本との間で、人の往来が盛んにあった。半島側へ行って住み着く日本人もいた。朝鮮から日本へ渡来した人々は、乗用できる大陸の馬を連れてきた。これが後世に、戦国武士が騎乗する日本馬となる。
▼日本から見たときの、大陸の玄関口が朝鮮半島で、そこを「から」と呼んだ。6世紀から10世紀に、玄関口の奥の大広間に隋・唐の大国が出現すると、次はその唐を「から」と言った。江戸時代には舶来の品物を総じて唐物(からもの)と呼び、西洋人まで唐人などと言った。幕末の攘夷が狂気を帯びていた頃には、悪い言葉だが西洋人を毛唐と呼んで、日本刀で斬りつけた。(次稿へ続く)
関連記事
産後うつ病は、母親の7人に1人が経験するとされます。症状を見逃さないための兆候や治療法、そして家族で支える方法を紹介します。
日本でも人気の中華料理・刀削面はもともと山西省の一般家庭の主食でした。太くもちもちの面にパンチの効いたつけ汁を絡めて食べるのも最高ですが、料理人の手慣れた包丁さばきを鑑賞することもこの料理ならではの醍醐味と言えるでしょう。実は刀削面の調理法は歴史と深い関わりがあり、知られざる誕生秘話がそこにはあります。
ほうれん草は栄養満点のスーパーフード。目の健康や心臓病予防、がん対策、さらにはダイエットや肌のアンチエイジングにも効果が期待できます!食卓に取り入れて、健康的な毎日を目指しませんか?
中国には、「一日の始まりに必要な7つのものがあり、それは、薪、米、油、塩、たれ、酢、お茶である」ということわざがあります。お茶は中国の文化の一部としてなくてはならないもので、客人にふるまったり、食後にたしなんだり、その長い歴史の中で育まれてきました。
世界中の美しいカフェ10選を巡る旅へ。歴史と芸術、文化が交錯する特別な空間で、至福の一杯を味わいませんか?