米各州、相次ぎコロナ対策を強化 学校再開へ新たな指針も

[ニューヨーク 8日 ロイター] – 全米で新型コロナウイルス感染者が急増する中、各自治体は独自に感染防止に向けた対策を強化している。

ロイターの集計によると、全米の感染者は8日に6万人以上増加し、1日の新規感染者数として過去最多を更新。フロリダ州では新規感染者が1万人近くに達し、テキサス州も9500人超、カリフォルニア州は8500人超の感染が新たに確認された。カリフォルニア州とテキサス州は、1日あたりの死者数も最多を記録。全米での死者は2日連続で900人を超え、6月初め以来の多さとなっている。

ニュージャージー州は8日、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)維持が可能でない場合に屋外でのマスク着用を義務付ける行政命令を発令。屋内でのマスク着用は多くの州で義務化されているが、屋外でのマスク着用は任意で、これまでに米国内で実施されたコロナ感染抑制策としては最も厳格な措置となる。

これに対し、同州のマイク・ドハーティ州上院議員(共和党)は、屋外のマスク着用命令は「抑圧的」だとし、知事が「権力のために公衆衛生危機を利用している」と批判した。

また、ニューヨーク市はこの日、9月の学校再開に向け、分散登校と自宅学習を組み合わせた計画を公表した。同市の公立学校は110万人の生徒を抱え、全米で最大規模。

ロイターの集計によると、全米の新型コロナ感染による死者は13万2000人を超え、その3分の1以上がニュージャージーとニューヨークの北東部2州で報告されている。

<学校再開>

トランプ大統領は8日、ツイッターで、新型コロナ流行に伴い閉鎖されている学校を秋に再開しなければ連邦政府の補助金を打ち切ると警告し、米疾病対策センター(CDC)が示した学校再開に向けた指針を「過度に厳格でコスト高」と批判した。

トランプ氏がどの補助金に言及しているのかは不明だが、合衆国憲法の下、各州政府が初等・中等教育の責任を負い、連邦政府は補助金を支給する。

ペンス副大統領はトランプ氏のツイート後の会見で、CDCが来週に新たな指針を発表するとし、「大統領は厳しすぎる指針は求めていないと表明した」と述べた。

一方、トランプ氏のツイートを受け、ニューヨーク州のクオモ知事は「学校の管理・運営に関し連邦政府に法的権限がないことを明確にしたい」とし、「われわれが安全と判断すれば、学校を再開する」と表明。州内の学校再開の時期や方策を巡る協議は続いており、8月第1週に最終決定すると述べた。

<共和党集会も中止>

ロイターの集計によると、ここ2週間で全米50州のうち42州で新型コロナ感染者が増加している。検査の陽性率が5%を超え、専門家が懸念する水準に達している州は20以上に上る。

7日には全米の感染者が300万人を超えており、大統領選の民主党候補指名を確定させたバイデン前副大統領はこれについて「恐ろしい」としつつも「回避できた」と指摘。検査体制の拡充や保護器具の十分な供給を怠ったとしてトランプ大統領を批判した。

現在はカリフォルニア、フロリダ、テキサスなど人口が密集する州で感染が拡大。多くの州がバーやビーチの閉鎖を余儀なくされているほか、病床不足も懸念される。

感染拡大が深刻なアリゾナ州の保健当局によると、8日時点で州内の成人用集中治療室(ICU)病床の91%が埋まっている。

テキサス州の最大都市ヒューストンのターナー市長は8日、同市の7日の新規感染者が1000人を超え、1日あたりの過去最多を記録したと発表。感染は「深刻で制御不能だ」とした。

民主党出身の同市長は、公衆衛生上の懸念を理由に、今月16─18日に市内で予定されていたテキサス州共和党大会の中止を命じた。

隣のオクラホマ州タルサ市の公衆衛生当局の幹部は8日、トランプ大統領が6月20日に開催した選挙集会が新型コロナウイルスの感染拡大につながった可能性を指摘。過去2日で数百人の新型コロナ新規感染者を確認したとし、直近に行われた複数のイベントとの関連を調べる考えを示した。

これに対し、ホワイトハウスの報道官は、ダート博士の主張を裏付けるデータはみていないと発言した。

*内容を更新します。

関連記事
中国共産党(中共)がロシアに供給する半導体などのハイテク製品のサプライチェーンにおいて、香港が重要なリンクになっていることを示す証拠は大量にある。2022年2月24日、ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始して以来、香港で「ロシア」を社名に含む新規登録企業が急増した。
4月29日、テキサス大学オースティン校にテントを張っていた親パレスチナ派デモ参加者を、警察当局が逮捕し始めた。
米国とフィリピンが、南シナ海で初めて肩を並べて行った共同軍事演習の最中、4月30日に中共の海警船が、同海域でフィリピンの船舶に再度危険な干渉を行(おこな)った。中共は以前から、南シナ海でフィリピンの船舶に対して干渉を繰り返し、国際社会から批判を受けている。
今年11月に迫る米大統領選で勝利した場合、トランプ氏は数百万人の不法移民の強制送還や中国製品の関税強化、議会議事堂事件で起訴された人々の恩赦を行うと米誌タイムのインタビューで語った。
米国連邦大法院で、ドナルド・トランプ前大統領に対して一定レベルの免責特権は適用可能かもしれないという前向きな解釈が出た。これは、任期中に適用された容疑に関して「絶対的な免責特権」を要求していたトランプ側の主張に対して懐疑的だった従来の立場から少し緩和されたものだ。