3月、カリフォルニア州で訪米ツーリストに近ずく着ぐるみのキャラクター(Getty Images)

米上院議員が出産ツーリズム禁止法案を提出、中国人の悪用が横行

米上院2議員はこのほど、米国の出生地主義に基づく法律を悪用して、外国人が米市民権を取得するために訪米する「出産ツーリズム」を禁止する法案を提出した。

「過去20年間で、出産ツーリズムはかなりの規模の産業に成長した」「毎年、何万もの人々が移民法の抜け穴を利用している。私たちの国の市民権は、お金を払ってここに来て出産する人たちへの売り物ではない」と、阻止法案を提出したマーシャ・ブラックバーン上院議員は、自身のオフィシャルサイトから声明を出した。

米国の統計によると、出産ツーリズムの利用者は特に中国人とロシア人が多い。2012年には、少なくとも1万人の中国人女性が出産ツーリズムを利用して米国で出産した。

出産ツーリズム禁止法案は、移民および国籍法の改正を求めるもので、米入国の非移民Bビザを得る条件に出産目的の渡航を禁止することを加える。

同議員によると、新しい法案は1月、米国国務省によって出された出産ツーリズム対策強化の規則を成文化する。同省が1月24日に発効した規則変更では、出産ツーリズムはBビザ取得の正当な理由にならず、発覚した場合はビザが発行されなくなる。

「市民権とは、この国を愛し、自由の維持に貢献したいと願う人々のためのものだ。いつでも好きなときに戻ってこられるようにと、第二の市民権を得るためにあるのではない」とブラックバーン議員は付け加えた。

ワシントン拠点の移民研究センター(CIS)研究部長によれば、米国には毎年2万~2万6000人の出産ツーリズム参加者が訪米する。

米当局は、出産ツーリズムがらみの国境を越えた組織犯罪の取り締まりを強化している。司法省によると、2019年1月、連邦検察官は、カリフォルニア州で出産ツーリズムに関わる19人を一斉起訴した。起訴状には移民詐欺、資金洗浄、身分証明書の窃盗などがある。

起訴された一人、鄧文瑞被告は、1999年からロサンゼルス郡に「スター・ベビーケア」と名付けた出産ツーリズム事業を運営していた。これまでに約8000人の妊婦にサービスを提供し、そのうちの約4000人は中国人だという。鄧被告は中国に逃亡した。

起訴状によると、鄧被告の客には中国共産党高官も含まれている。例えば、中国国営放送・中国中央テレビ(CCTV)、携帯事業3大手の一つで国営の中国通信(チャイナテレコム)、中国銀行などの関係者がいる。

2019年1月に逮捕されたもう一人の被告、李冬媛被告は、詐欺罪と移民詐欺の共謀で罪を認めた。共犯者らも逮捕されているが、一部は中国に逃亡した。

李らが運営していた出産ツーリズム提供会社「You Win USA」は、客にビザ申請書の虚偽記載を教えたり、米国カリフォルニア州オレンジ郡アーバインで、出産と新生児の対応のためのアパートを提供したりしていた。客1件あたり4万~8万ドルの報酬を得ていたという。起訴状によれば、彼らの客のなかにも中国政府職員がいる。

(翻訳編集・佐渡道世)

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