【紀元曙光】2020年7月16日
芥川龍之介の『杜子春』。仙人になることを望む杜子春に、師である鉄冠子は「何を見ても、決して声を出してはならぬ」と厳命する。
▼仙人になるための修行で、峨眉山の頂上から地獄に落ちた杜子春は、閻魔大王による過酷な責め苦にあっても、じっと堪えて声を出さなかった。しかし、畜生道に落ちていた両親が引き出され、目の前で鬼に鞭打たれると、杜子春は思わず「お母さん」と声を出してしまう。
▼芥川は、もとの中国古典にある杜子春の物語を、だいぶ日本人好みにアレンジして描いている。芥川の杜子春は、仙人にはなれなかったが、勤勉な生活の中に幸せを見つけるという、まことに結構な結末なのだ。
▼閻麗夢さん。香港の著名な公衆衛生ウイルス免疫学者で、香港大学のWHO認定研究室に勤務していた。4月28日、彼女は監視の目をくぐり、家族にも告げずに単身で米国へ亡命する。その目的は、ただ一つ。専門家であり、自身が直接携わった職務から知りえた「中共ウイルス」に関する高度な秘密情報を、米国に伝え、全世界に暴露するためだ。
▼自分が暗殺される可能性も、中国の実家に危険が及ぶことも、全てを覚悟した上での決意の亡命である。事実、山東省青島にいる家族のもとへ、すぐさま警察の手が及んだらしい。地獄の鬼どもが杜子春の母親を鞭打ったように、たとえ自分の家族が拷問にかけられても、閻麗夢さんは、自らの信念を貫くだろう。
▼小欄の筆者は、閻麗夢さんの表情に、曇りのない水晶のような美しさを見た。彼女のような勇気ある告発者の出現を、中国共産党は最も恐れている。
関連記事
中国古典舞踊の最高峰・神韻芸術団は20日に来日。待望の2025年神韻世界巡回ツアーが23日に日本の名古屋で開幕する。
肩の柔軟性と筋力を高める6つのエクササイズを実践すれば、可動域を改善し、肩こりや日常の不快感を和らげる効果が期待できます。
白キクラゲやレンコンをはじめ、免疫力を高める10の食材を紹介。伝統医学と現代科学が推奨する抗炎症効果で、肺を潤し冬を快適に過ごす方法を提案します。
新たな研究により、男性における自閉症の発症リスク上昇には、Y染色体が関与している可能性が示されました。男性では自閉症が女性より約4倍多く見られる一因として、Y染色体が自閉症リスクを特異的に高めていることが明らかになっています。
朝食のタイミングを調整することで、2型糖尿病の血糖値管理が改善する可能性があることが新しい研究で明らかに。運動と食事のタイミングが血糖値に与える影響を探ります。