2018年3月29日、中国動画配信大手「愛奇芸」が米ナスダック市場に上場を果たした(Spencer Platt/Getty Images)

米投資家、「中国版ネトフリ」愛奇芸を集団訴訟 粉飾決算で

米国人投資家らは6月15日、粉飾疑惑を報じられている中国動画配信サイトの愛奇芸iQIYI)を相手取って、ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所で集団訴訟を起こしたことが明らかになった。米投資会社、ウルフパック・リサーチ(Wolfpack Research)が4月7日、調査報告を公開し、米ナスダック市場に上場している同社が財務報告を粉飾したと指摘した。

法律事務所Glancy Progay & Murray LLPが投資家の代理人として、同地裁に集団訴訟を提起した。訴状は、今年4月7日までに愛奇芸の株式を購入した投資家は、愛奇芸の不正会計に関する報道で、株価が急落し巨額な損失を被ったとして、同社に対して賠償金を請求した。

愛奇芸は中国版のネットフリックス(Netflix)と呼ばれ、2018年3月29日にナスダック市場で新規株式公開(IPO)を果たした。上場初日に22億5000万ドル(約2412億円)の資金を調達した。中国検索エンジン最大手、百度が同社の株式56%を保有している。百度の創業者である李彦宏氏が、愛奇芸の会長を務めている。同社は、中国のテレビや報道機関の検閲管理機関、国家広播電視総局が国内数社だけに付与した特別放送許可、「情報網絡放送視聴番組許可証」を持っている。中国当局に太いパイプを持つことが示されている。

ウルフパック・リサーチは4月の報告書において、愛奇芸が2019年の売上高を27%から44%に粉飾し、ユーザーの人数を42%から60%と水増し、さらに不正行為を隠ぺいするために支出を故意に増加したなどと指摘した。また、同報告書は、2018年米上場の前から、「詐欺行為があった」との認識を示した。

(翻訳編集・張哲)

 

関連記事
アメリカ政府が国家安全のため、中国製TP-Linkルーターの販売禁止を検討。セキュリティ脆弱性と中国共産党のネットワーク攻撃利用の恐れが背景に。国防省含む複数機関が調査中、近く結果が出る見込み。
バイデン政権が新型コロナウイルスワクチン関連の免責措置を2029年まで延長した。この決定は、ワクチン製造者や医療提供者を法的訴訟から保護する一方で、ワクチン被害者の救済をめぐる重大な議論を引き起こしている。
イエレン財務長官は、ロシアの石油収入遮断と「黒い艦隊」制裁を検討。さらに、中国の銀行や企業への制裁も可能性を排除せず、既に影響を受けた中国企業が資産売却を進めている。制裁強化が進む中、国際経済に緊張が高まる。
超加工食品がアメリカ人の健康を脅かす中、新たな食事ガイドラインが改革の鍵を握っています。ケネディ氏が提唱する企業の影響力排除と、超加工食品の規制強化の行方に注目です。
ミシガン大学は、教員採用や昇進、終身在職権(テニュア)の審査において求められていたDEIに関する声明の提出義務を廃止すると発表した。この決定は、表現の自由や多様な考え方を制限するリスクがあるとの批判を受け、大学の方針を再評価する動きの一環である。