米ミズーリ州 中国に240億ドルの賠償命令 農地など中国資産の差し押さえへ

2025/03/25 更新: 2025/03/25

米ミズーリ州のアンドリュー・ベイリー司法長官は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う損害に対し、中国側に240億ドル(約3.6兆円相当)の賠償を命じた連邦裁判所の判決を受け、中国資本が保有する農地などの資産を差し押さえる手続きに入る方針を明らかにした。

ミズーリ州は、中国共産党(中共)がパンデミック初期に個人用防護具(PPE)を買い占め、同州の医療体制に重大な支障を及ぼしたと主張し、同党を提訴していた。本訴訟は前任の司法長官により提起され、2025年1月にベイリー氏が審理を終えている。

3月7日、同州の連邦地方裁判所は、中共および関連する中国政府機関9つの被告が、ウイルス発生当初の情報隠蔽や防護具の買い占めなどを通じて、州に深刻な損害を与えたと認定し、賠償を命じた。



米ミズーリ州判事 中国共産党に240億ドルの損害賠償命令 コロナ防護具買い占めで

米ミズーリ州の裁判所は、新型コロナウイルスのパンデミック中に医療物資を買い占め、米国内の供給を妨げたとして、中国共産党に約3.6兆円(240億ドル)の賠償を命じる判決を下した。

被告とされたのは、中華人民共和国(PRC)中国共産党(CCP)国家衛生健康委員会、緊急管理部、民政部、湖北省人民政府、武漢市人民政府、武漢ウイルス研究所、中国科学院の9機関である。

判決では「中国(中共)側はウイルスの危険性や感染拡大の実態を世界に誤って伝えた」「中国による防護服やマスクなどの買い占めが、ミズーリ州の医療機関の対応に深刻な影響を与え、税収の減少などの損害をもたらした」と指摘されている。

中国側は出廷せず、裁判にも応じなかったため、裁判所は欠席裁判により州側の主張を全面的に認めた。

訴訟は、外国政府に対する訴訟を一定条件の下で認める「外国主権免除法(FSIA)」に基づいて提起された。同法は、合法的な判決を執行するため、外国政府の資産を特定し、差し押さえや換価を行う法的枠組みを提供している。

ベイリー司法長官は、「中国側には訴訟に参加する機会があり、我々は正式に法的通知を送達していた」と説明した。「中国はアメリカ国内で事業を展開し、多くの農地を所有している。本来、そのような所有は認められるべきではないが、実際に保有している以上、アメリカの法律、とりわけ『外国主権免除法』の適用を受けるのは当然である」と述べた。

さらに、「中国(中共)政府はアメリカを軽視し、通知を受け取っていたにもかかわらず、出廷すらしなかった。我々はこの判決を確実に執行し、ミズーリ州の人々に正当な補償をもたらす」と強調した。

現在、アメリカ国内では、中国などの外国資本による農地取得に対する警戒感が高まっており、軍事施設周辺の土地については所有を禁止・制限する州も増えている。

米農務省によれば、2021年時点で外国資本が所有する米国農地は約4080万エーカー(約16万5111 km²)に達し、そのうち中国の個人または法人が所有するのは約38万4千エーカー(約1554km²)、東京都の約71%の面積にあたるとされている。

林燕
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