米議員、外国からの献金の開示要求 ハーバードなど名門6大学に
米下院議員は8月3日、名門大学6校の学長に対して、外国からの献金や贈答品、外国と結んだ協力協定を10日までに開示するよう書簡を出した。6校が過去5年間に受けた外国献金は1億ドル以上に上るが、詳細はこれまで明かされていなかった。
下院監視改革委員会のジム・ジョーダン下院議員らは、ハーバード大学、ニューヨーク大学、ペンシルバニア大学、エール大学、シカゴ大学、デラウェア大学の学長に書簡を送り、2015年以降に外国との間で受けた贈答品や契約書、協定書を8月10日までに提出するよう求めた。
この大学への開示請求は、1965年の米国高等教育法第117条に基づく。法律には、大学が25万ドルを超える外国からの契約や贈答品を受け取った場合、教育省に報告が義務付けられている。
教育省は5月、下院監視改革委員会への報告のなかで、「大学が敵対国家からの資金に依存することは、国家安全保障上のリスクにつながる」と、透明性の欠如について説明した。
教育省によると、6校は中国、カタール、サウジアラビア、イラン、ロシアから数千万ドルから数億ドルの贈答品や契約を受け入れている。例えば、2015年以降、ハーバード大学は5カ国から合計1億100万ドルの贈与または契約を31件受けていた。ニューヨーク大学は同期間に4000万ドル、シカゴ大学、デラウェア大学、エール大学はそれぞれ3000万ドル弱を受け取ったという。
米メディアのワシントン・フリー・ビーコン8月3日付は、ペンシルべニア大学が共産主義政権と強い結びつきを持つ個人・徐学清(音訳)氏から300万ドルの寄付を受けていると報じた。徐氏は、上海の地域商工会議所の会長であり、上海ゴルフ協会の副会長でもある。
2011年、徐氏は高級時計カルティエを賄賂として贈り、汚職問題として取りざたされたが、起訴されることはなかった。同紙は、政策シンクタンク・外交問題評議会の中国専門家マイケル・ソボリク氏の話として、徐氏が習近平主席の反腐敗キャンペーンを逃れられたのは、共産党内に支援者がいるからではないかと報じた。
シンクタンク・国際政策センター(Center for International Policy)の対外影響力透明化プログラムのディレクターであるベン・フリーマン(Ben Freeman)氏によると、中国からの寄付は、米国の学者に対する知的財産権の獲得と、米国における中国の影響力拡大という2つの目的で行われているという。
「彼らは米国のキャンパスで影響力を得て、一流の学者に接触し、米国の知的財産を入手しようとしている」とし、多くの大学が中国からの資金を受け入れた後、中国共産党を肯定するようになったとした。
2017年3月から2019年末までの間に、ペンシルベニア大学は中国から6100万ドルの「贈り物」と契約書を受け取った。
議員らは、大学学長への手紙の中で、「最も心配なのは、寄付を受けた大学の中には、寄付を受けたことによって決定を変えたという事実だ」と書いている。例えば、教育省の資料によれば、中共ウイルス(新型コロナウイルス)が中国・武漢の研究室で発生した可能性があるとの報道を受けて、吉林大学と提携する2大学は「報道は虚偽だ」と中国当局の主張を擁護した。
中国からの献金の多い米大学は、共産党寄りの姿勢が見える。7月、ハーバードのアッシュ民主主義統治革新センターは国際「世論調査」で「中国国民は中国共産党に90%以上満足している」と結論づけた。
マイク・ポンペオ米国務長官やマイク・ペンス副大統領がこれまでの演説で「中国共産党」と「中国人民」を別々に扱うと発言していたため、中国官製メディアはこの調査結果をもってポンペオ長官らの主張が虚偽だと反論した。
(翻訳編集・佐渡道世)