米、人気アプリWeChatを禁止 中国企業の海外業務が危機
トランプ米大統領は8月6日、中国人気通信アプリ「微信(WeChat)」との取引を禁止する大統領令に署名した。微信の親会社テンセント・ホールディングス(騰訊)は香港株式市場で10%を超える大幅下落となり、下げ幅は9年以来最大という。
微信は通信だけでなく、電子商取引や支払いなど多様な機能を備える人気アプリ。世界で10億人以上に利用されている。海外の配信アプリが禁止されている中国では、微信は企業の配信や決済に幅広く使われている。微信との取引禁止は、中国企業が海外企業との取引に大きな影響を与える可能性がある。
中国ではテンセントはテクノロジー企業のトップ。傘下にある微信はアメリカにおけるメインユーザーは中国人で、Sensor Towerのデータによると、2014年から、1900万回のダウンロード数が記録されている。大統領令は45日後に発効され、米国に居住する個人および企業が、テンセントおよび傘下の関連会社と「微信」に関わる取引を行うことを禁止する。
テンセントは近年、米国で積極的に企業買収を行っている。
2011年 ゲーム会社Riot Gamesの半分以上の株を買収
ゲーム会社Activision Blizzard傘下のゲームCall of Dutyの5%の株を買収
2012年 Epic Gamesの48.4%の株を買収
2017年 17.8億米ドルをかけ、テスラの5%の株を買収
ソーシャルメディア会社Snapの12%の株を買収
2020年 音楽会社UMGの10%の株を買収し、騰訊音楽(TME)がアメリカで上場
また、買収と同時にアメリカの上場企業(DOYU、HUYAなど)への投資も行っている。
米当局関係者は、テンセント・ホールディングスおよび子会社との取引で微信を禁止するが、その他の取引を禁止することはしないと説明した。
しかし、テンセント社の行方は注目を集めた、8月5日、ポンぺオ米国務長官は国内通信事業における中国当局の脅威を排除する取り組み「クリーン・ネットワーク」計画を発表した。長官は、COVID-19(武漢肺炎)ワクチン研究データを含め、米国民の個人情報や米企業の機密情報を盗んでいるとして、中国電子商取引大手アリババ、ネット検索大手の百度、IT大手のテンセントを名指し、産業スパイ活動を阻止すると明言した。
BBCの報道によると、インドは中国製のアプリを禁止する計画を実施し、現在59のアプリが対象になっているが、さらに拡大する可能性がある。テンセント社が大口株主となるフィンランドのゲーム会社スーパーセル(Supercell)のアプリへの禁止も検討されているという。
米国はインドを参考にアプリを制限する場合、テンセント社が株主になるゲーム会社Riot GamesやEpic Gamesの行方が不安になるとBBCが予想した。
(大紀元日本ウェブ編集部)