中国国有企業従業員48人ワクチン治験 パプアニューギニアは入国拒否
太平洋の島国パプアニューギニア(PNG)当局は8月20日、中共ウイルス(新型コロナウイルス)のワクチンを接種したという48人の中国国有企業の従業員を乗せた飛行機の入国を拒否した。PNG側は、ワクチンのリスクを十分に認識する必要があるとし、中国側に説明を求めている。
AFP通信によると、ワクチン接種した48人は、PNGの主要ニッケル鉱山を管理する中国冶金科工集団有限公司(MCC)の従業員。中国側は「48人はウイルス検査で陽性反応を示す可能性がある。これは感染によるものではなくワクチン接種によるもので、正常な反応だ」とPNG側に一方的に通告した。
PNG感染症対策当局は、中国のワクチンの有効性への疑問と情報不足を理由に、ワクチン接種者48人を含む180人の中国人労働者を乗せたチャーター機の入国を拒否した。
PNG伝染病対策責任者デビッド・マニング(David Manning)氏は首都ポートモレスビーで記者団に対して、入国拒否は「国民へのリスクを考慮した」と語り、「国内でのワクチン接種試験はまだ承認されていない。少なくとも国の規制当局や世界保健機関(WHO)によって承認されるまでは(入国は)認められない」と述べた。
豪紙オーストラリアンは21日、マニング氏が駐PNG中国大使の薛冰氏に宛てた外交書簡に「政府は、中国で行われているこの種のワクチンの開発と予防接種プログラムのリスクについて十分な情報を至急提供するよう求める」と書かれていると報じた。
マニング氏はまた、PNGにおける中共ウイルスに関する治験および未承認のワクチン処置を禁止した。
PNGジェルタ・ウォン(Jelta Wong)保健相は、48人に対するワクチン接種は入国3日前に行われたと知らされているが、ワクチンに関する情報は提供されていないという。
中国当局は以前、軍人と国有企業の従業員を対象にワクチンの試験を実施すると発表していた。しかし、これらのワクチン治験者が海外に渡航する労働者にも実施されているかどうか、公表されていない。
PNGは継続して海外からの入国者に対して規制を行っており、入国前にウイルス検査することや、到着後の隔離を行っている。
一部英字メディアは、中国企業の従業員らは渡航先の入国の検疫ルールを守らないこと、またワクチンの効果検証のためにPNG国民が試されているのではないかなどの疑惑を報道している。
薛冰氏はAFP通信に対し、「今のところコメントはできない。しかし、一つ確かなことは、中国はPNGでワクチン効果の試験をしていないということだ」と述べた。
人口860万人のパプアニューギニアは太平洋の貧困国。ウイルスのパンデミックは、同国内のいくつかの高収益の鉱山運営を混乱させ、主要鉱山の閉鎖を余儀なくさせた。
いっぽう、同国のウイルス検査率は低く、20日は12人の新規感染が報告され、累積症例数は359人、うち少なくとも3人が死亡した。保健局は感染者はわずかに増加していることから、資源不足を懸念している。
(大紀元日本語ウェブチーム)