安倍首相、24日に辞任決断 持病再発し「負託に応えられず」

[東京 28日 ロイター] – 安倍晋三首相は28日夕に会見し、辞任を表明した。持病の潰瘍性大腸炎の再発が確認されたことから、連続在職日数が歴代最長を更新し、慶応義塾大学病院を訪問した今週24日に決断したことを明らかにした。国内の新型コロナウイルスの感染が減少傾向に転じたことや、冬に向けた対策拡充を取りまとめたことで、「新体制に移行するならこのタイミングしかないと判断した」と語った。

安倍首相は会見で「コロナ禍の最中に職を辞することを、国民の皆様に心よりおわびする」と陳謝。後継が決まるまで職務を続けると説明し、決め方は与党・自民党の執行部に委ねる考えを示した。名前が浮上している後継候補については、「みんな有望な人だ」と述べるにとどめた。次期政権に対しては「辞めていく私が注文すべきではない」としつつ、コロナ対策に全力を挙げてほしいと語った。

自民党総裁の選出方法については、全国の党員を含む総裁選と、国会議員を中心とした両院議員総会があるが、首相は執行部に委ねるとした。

首相は自身の体調について、6月の検診で持病再発の兆候が見られ、7月に異変を感じるようになったと説明。8月上旬に再発が確認されたことを明らかにした。今月2週連続で病院を訪れ、追加された新たな薬の効果があったとしたが、「国民の負託に自信持って応えられない以上、総理の職を辞することにする」と語った。

首相は今月17日と24日、東京・信濃町の慶応大学病院を日帰り検診で訪れた。17日は約7時間半、24日は3時間半ほど滞在した。24日の診察で辞任を判断したという。

他人に相談はせず1人で決断したことや、第1次安倍政権で国会開会後に突如辞任したのとは異なる形での辞任を意識したことを明らかにした。

首相は第1次政権時の2007年、持病の潰瘍性大腸炎が悪化して退陣している。その後、新薬の効果で体調が回復。2012年12月に再び首相に就任し、第2次安倍内閣を発足させた。

第2次安倍内閣発足後は、デフレ脱却を掲げ、大規模な金融緩和をはじめとしたアベノミクスを推進した。安全保障政策では憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にした。

一方で、ロシアとの領土問題、北朝鮮による日本人拉致問題は大きな前進が見られなかった。安倍首相は会見で「拉致問題を解決できなかったことは痛恨の極み」と語った。また、第1次政権時から高く掲げてきた憲法改正にも踏み込めず、「志半ばで去るのは断腸の思い」と述べた。

安倍首相は24日、連続在職日数が歴代最長となったばかりだった。首相は自身の政治遺産(レガシー)について、「国民、歴史が判断するものだ」と語った。

森友・加計学園問題などに関連し、政権を私物化したとの批判は明確に否定しつつも、公文書管理問題などの説明責任が十分だったかどうかは国民が判断するとした。

*見出しを修正して再送します。

(竹本能文、久保信博 編集:石田仁志)

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