豪専門家、欧米の大学は中国との関係を断ち切るべき
オーストラリアでは中国共産党による同国の大学への浸透と干渉について、懸念が高まった。社会学者でシドニー大学の准教授でもあるサルバトーレ・バボネス(Salvatore Babones)氏はこのほど、米誌「フォーリン・ポリシー」に投稿した記事で、「欧米の大学は中国との関係を断ち切る時が来た」と呼びかけた。
オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)および豪主流メディアが8月、中国がオーストラリアのトップレベルの研究者数十人を「千人計画」に招致したと報じた。
オーストラリア保安情報機構(ASIO)は5月、同国の主要大学に対し、中国当局が人材募集プログラムを通じてスパイ活動を展開し、国家安全保障に脅威を与える可能性があると警告した。
シドニー工科大学の豪中関係研究所の最新調査によると、中国は米国を抜いてオーストラリア最大の科学研究パートナーとなったことが明らかになった。昨年発行された科学論文のうち、豪中共同論文は全体の16.2%を占めている。
欧米の大学は中国との協力関係を断ち切るべきだ
バボネス准教授は記事で、「1989年の天安門事件以来の30年間、イメージ向上のため、中国は欧米の大学と積極的に提携関係を結んだ」と分析した。「海外の大学とのパートナーシップは当初、研究協力に重点を置いていたが、その後、言語教育と銘打つ孔子学院のようなさまざまなプロジェクトに多額な資金を提供し、各大学も中国で分校を設立するようになった」とした。
同氏は「現在の中国は全体主義と軍拡主義に完全に傾いている」とし、欧米の大学にとって中国との協力関係は「人民元に対する純粋かつ狂った渇望だ」と厳しい見解を述べた。
「中国と連携すれば、不道徳な犯罪に巻き込まれかねない」
バボネス准教授は「30年間、欧米の大学は中国に影響を与えようと、中国の研究機関と提携したり、中国に分校を開設したりして、数十万もの中国人学生を教育してきた」が、「しかし、中国の大学はますます『思想の自由』を抑圧し、欧米大学の中国分校も「愛国教育」を必修科目として追加した。また、多くの中国人留学生が過激なナショナリズムを示すようになった」と述べた。
「共産党全体主義の台頭により、欧米の大学は中国の自由化を促進するどころか、中国共産党からの圧力を受けやすくなり、不利な立場に置かれている」と同氏は指摘した。
同准教授は、大紀元のインタビューに対し、「中国との提携は通常秘密裏に行われることが多く、非常に悪用されやすい」と述べ、「中国のような独裁政権と密約を交わすなら、最悪の結果を想定し背負わなければならない」と警告した。
さらに「欧米の大学と中国の大学との提携関係はすでに問題を引き起こしている」とした。具体的には、中国からの資金提供を開示しなかった教授が摘発されたことや、研究成果が中国の監視システムの改善に使用された可能性がある、などを挙げた。
「欧米の大学が危険な中国政権と連携すれば、不道徳な犯罪に巻き込まれかねない」と指摘した。
「現在、中国はあらゆるものを監視・検閲し、外部のニュースや情報を遮断し、自国民だけでなく外国人まで恣意的に拘束している。そして、チベットや新疆における少数民族文化への深刻な破壊、さらには信教の自由の禁止、隣国への武力による脅迫などを繰り返している」
「中国が確実に間違った方向に進んでおり、欧米の大学は中国を容認できなくなる日が来るだろう」とバボネス氏は述べた。
豪州政府は8月30日、国内の大学や公的調査機関を対象に、外国からの影響を受けているかどうかを精査する調査を実施する方針だ。さらに、外国政府と国内の公的機関が締結した合意を、連邦政府が見直しできる対外関係法案(Foreign Relations Bill)を議会に提出するとみられている。
(大紀元日本ウェブ編集部)