オーストラリア警察、中国領事館職員の通信を調査(GettyImages)

オーストラリア警察、中国領事館職員の通信を調査 外国干渉法違反の疑いで

オーストラリア警察は、同国への外国の干渉について監視を続けているなか、中国領事館職員とオーストラリア国会議員のスタッフの通信を調査する令状を発行した。豪メディアABCは9月15日、当局の報告を引用して報じた。

報道によると、在シドニー中国総領事館の孫彥濤氏を捜査するため、捜索令状がオーストラリア連邦警察から発行された。

孫氏は、シドニー中国総領事館で華僑事務弁公室を管理している。華僑事務弁公室は共産党統一戦線部の管轄下にあり、中国人コミュニティと連携して海外で中国共産党の影響力を高めるための部署である。

豪州警察とオーストラリア保安情報機構 (ASIO) による調査は、シドニー中国総領事館がニューサウスウェールズ (NSW) 労働党の職員である張智森氏と共謀し、労働党に浸透工作を働いたかどうかに焦点を当てている。

現在、NSWのシャケット・モーセルメイン(Shaoquett Moselmane)議員の事務所に非常勤として勤務する張智森氏は、オーストラリアの外国干渉法に違反したとして調査を受けている。同法は2018年に成立し、張氏は最初の摘発者となった。

張氏が8月にオーストラリア連邦政府宛ての抗議文で、警察と国境軍は、彼と中国の外交官や領事館員との通信記録を閲覧し、コピーしたという。

モーセルメイン議員に対して、6月に家宅捜査が行われた。

中国とオーストラリアの関係が悪化している。中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源について、独立調査を要求した豪モリスン政権に対して、中国はオーストラリアの主要輸出品である牛肉や大麦、ワインの輸入制限を行った。さらに、9月はじめ、オーストラリア人のジャーナリスト2人が中国共産党当局から身の安全を脅かされたとして、中国からの退去を余儀なくされた。一方、今年6月、オーストラリア当局は張智森氏への捜査の一環として、中国国営メディアの記者の家宅捜査をし、パソコンや携帯電話などを押収した。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。